有吉弘行
有吉弘行

 今やNHKを含む主要テレビ局すべてで冠番組を持つ、売れっ子芸人の有吉弘行(47)。若くしてお笑いコンビ・猿岩石としてアイドル的人気を博したが、ブームが去ると転落。その後、毒舌キャラのピン芸人として再起を図り、「内村プロデュース」や「アメトーーク!」をきっかけに再ブレークを果たして今のポジションまで上り詰めたのは、お笑い史上でもまれにみる偉業だろう。

【写真】有吉に発掘されて再ブレークした「ミスター壁芸人」はこの人

 テレビ界ではすでに盤石の地位を築いているため、再ブレーク時のような“むきだしの毒舌キャラ”は鳴りを潜めていた有吉だが、1月半ば、久々に毒舌が火を噴いた。有吉が自身のレギュラーラジオ番組でアンジャッシュ・児嶋一哉のYouTubeチャンネルを「クソみたいなYouTube」と発言。児嶋がツイッターで不快感をあらわにしたのだ。放送作家はこの発言の経緯をこう語る。

「ラジオでの会話の流れをさかのぼると、アシスタントを務めていたデンジャラスの安田和博さんのYouTubeに対して有吉さんが『クソみたいなチャンネル』と言い放った後、児嶋さんの話に広がったのです。ただ、この番組では同じ事務所の先輩である安田さんを『お前』と呼んだり、罵倒してダメだしすることがお約束なので、唐突に児嶋さんだけをディスったわけではない。それが切り取られて報じられしまったのです。有吉さんはテレビでも彼なりの理屈で、先輩芸人すら論破することが多い。とはいえ、『有吉が言っていることはすべて正しい』という風潮があるのも、いかがなものかとは思います」

 最終的には児嶋が「本人とも話せたので全然大丈夫です! お騒がせしました」と報告し、いささか後味の悪さが残ったものの、すぐに騒動は収まったようだ。

「有吉さんは先輩イジリが得意な人ではありますが、本来なら面と向かって罵倒して笑いを取ってきた人。有吉さんのすごいところは本人を罵倒しながら、必ず最後は笑顔でオチをつけるところなんです。そのスキルが突出しているので毒舌キャラでブレークできた。それを前提に言うと、児嶋さんがいないところで『クソみたいな』と罵倒するのは、いささか芸がないと感じてしまいます。本人不在で暴言を吐くのは、ただの悪口以外の何物でもないですから。昨今のコンプライアンス重視の風潮で昔ほどテレビでは毒舌を吐けない事情もあり、最もリラックスしてしゃべれるラジオ番組でつい口が滑ったのだと思います。この一件は有吉さんにとっても後味が悪かったでしょうね」(前出の放送作家)

著者プロフィールを見る
藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

藤原三星の記事一覧はこちら
次のページ
有吉に「乗っかる」ことでお笑い通ぶれる