北京で五輪3連覇を目指す羽生結弦
北京で五輪3連覇を目指す羽生結弦

 羽生結弦の五輪3連覇が注目される、北京五輪の男子フィギュアスケート。だがその偉業達成へのハードルは、これまでとは違って高いのも事実だ。世界選手権3連覇中のネイサン・チェン(アメリカ)が立ちはだかっているからだ。

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 平昌で五輪連覇を果たした後、羽生は北京五輪への言及は避けてきた。小さい頃から目標にしてきたのは、23歳で迎える平昌五輪で優勝すること。14年ソチ五輪で優勝してからは、それが彼にとっての決定事項にもなっていた。大きなケガをしながらもそれを果たした達成感は大きく、「獲るべきものは獲った」という満足感に包まれた。だからこそ自分が競技を続けるためのモチベーションを模索し、それを4回転アクセルに定めたのだ。その後は北京五輪に関しても「4回転アクセル成功の延長線上にあれば出るかもしれないが、平昌の時のように是が非でも勝ちたいという気持ちはない」と口にしていた。

 だが昨年12月に代表内定が発表されたあとには「五輪は発表会ではないので、やっぱり勝たないといけない。自分の2連覇の価値を失いたくないからこそ、決意をもって絶対に勝ちたいなと思った」と宣言した。それは彼が日本代表として出場する五輪の意味の重要さをしっかり認識しているからであり、そこで戦う他の選手をリスペクトする気持ちを表すためにも本気で戦わなければいけないと考えるからだ。

 チェンは19年GPファイナルではフリーで4種類5本の4回転を跳び、世界最高の335.30点を獲得して圧勝した選手。それに勝つには羽生も、330点台を狙える高難度のジャンプ構成が必要になる。その勝負へ向け、4回転の本数を増やして戦う選択肢もある。だが羽生は「はっきり言って、これから4回転ルッツや4回転ループを入れる構成にするのは現実的ではないと思う。ここからの1カ月半でやれることは多分4回転アクセルくらいなので、その精度を上げてGOEでプラスをつけられるようにしたい」と話した。

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羽生とチェン、勝負を分けるカギは…