※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 うつ病、統合失調症、不安症といった精神疾患を持つ人の半数は10代半ばまでに発症しており、全体の約75%が20代半ばまでに発症しています。思春期の子どもが精神疾患(心の病気)にかからないようにするにはどうしたらいいのでしょうか? ストレスとの関係は? 精神科医で東京都立松沢病院院長の水野雅文医師が執筆した書籍『心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)から一部抜粋してお届けします。

【精神疾患、早期症状チェックリスト】

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 精神疾患にかからないようにするために、日ごろから実行できる対策はあるのでしょうか。

 精神疾患は生活習慣と深いかかわりがあり、日々の生活の乱れが発症の一因になることが指摘されています。また、症状の悪化や再発を防ぐためにも、生活習慣を改善する必要があります。とくに大切なのは、運動、食事、休養・睡眠です。

【運動】

 最近では、運動がさまざまな精神疾患に治療効果があることがわかってきました。なかでもうつ病には、薬物治療と同等の効果が期待できるとの報告があり、とくに軽いうつ病やうつの治りかけの時期には運動を行うと回復が早まります。

 さらに運動には精神疾患を含めたさまざまな病気の発症予防効果やストレス解消効果もあります。ぜひ運動を習慣にしたいものです。

【食事】

 10代は成長が著しく、活動量も増加します。そのため脳や体の材料となりエネルギー源にもなる糖質やたんぱく質が不可欠です。ところが女性の場合、やせたモデルなどにあこがれ、過度なダイエットで体調を崩してしまう人が少なくありません。栄養不足に陥ると、脳が萎縮したり、生理が止まったりするなど、体のあちこちに深刻な影響を及ぼします。

 栄養バランスのいい食事を3食とることが基本。朝食を抜く人は多いですが、一日元気に活動するために、しっかり食べるようにしてください。

イラスト/タナカ基地 『心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)より
イラスト/タナカ基地 『心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)より

【休養・睡眠】

 生活リズムで重要なのは「睡眠」です。一日の活動で疲れ切った体と心をしっかり休め、翌日の活動に向けてリセットするという作業が欠かせません。ぐっすりと眠ることは、日常的なストレスを小さくする技術(ストレスマネジメント)でもあるのです。

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