立憲民主党の候補を応援する蓮舫氏(左)と辻元清美氏
立憲民主党の候補を応援する蓮舫氏(左)と辻元清美氏

 昨年10月の衆院選で落選した、立憲民主党の辻元清美前衆院議員が今年夏の参院選に全国比例の候補として立候補することを表明し、波紋を広げている。

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 歴代首相を舌鋒鋭く、徹底追及してきた辻元氏。初当選から25年のキャリアを誇り、国土交通省副大臣、首相補佐官などを歴任した。

 落選後は、ボランティアで介護施設を手伝い、トーク番組に出演するなど、政治とは距離を置いていた。そんな中でなぜ、衆院から参院に鞍替えなのか。

「夏の参院選、比例代表に立候補する決意を固めました。この夏 全国の皆さんの声、コロナや格差が広がり、しんどい人の声を国政に届ける役割を担わせてほしい」

 辻元氏は1月末、支援者にこう訴えた。

 昨年の衆院選で惨敗した立憲民主党は泉健太代表が就任後も政党支持率は低迷し、日本維新の会よりも低い数字で後塵を拝することも珍しくなくなった。

 民主党時代の仲間、国民民主党は東京都の小池百合子知事が最高顧問を務める都民ファーストと連携し、参院選を戦うと表明。参院選で負ければ、「党が割れる」(立憲所属の国会議員)とその存亡すら危うい状況だ。

 立憲民主党が低迷している大きな理由の一つは、泉代表の知名度の低さにあるという。

「泉代表をはじめ、西村智奈美幹事長ら今の執行部は、とにかく発信力がない。顔や声でこの人、知っていると言われるのは、小川淳也政調会長くらい。泉氏はどこに行っても影がうすくて、人を集められない。選挙を戦える器量があるか、疑問ですが、今すぐに代表を変えるなんてできない。おそらく2~3年は衆院解散もないとみられ、発信力がある辻元氏を使うべきという声があがった」(立憲民主党幹部)

 辻元氏は地元大阪ではなく、全国の比例代表から出馬する予定だ。そうなれば、全国行脚して支持を訴えることができるという利点がある。

 昨年の衆院選では日本維新の会から徹底的に攻撃され、落選した辻元氏は自民党、維新へのリベンジをこう訴える。

「夏の参院選は日本の国の分かれ道。自民党と公明党、維新が多数をとると、異論を切り捨てる、一色に染まる政治になる。維新は自公政権の補完勢力と見ている人がたくさんいる。自民党、公明党と維新の対立軸になれる野党を作りたい」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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