医師を続けながらの大学生活は「毛穴から脳みそが出そう」なほどにハードだったと言う。しかし卒業論文は早稲田大学法学会学術賞を受賞。その後、双子の男の子の出産を経て、子育てをしながら大学院の博士課程に進み、生殖医療など産婦人科にかかわる法律の研究を続ける。

「医学は人間の営みの一分野にすぎません。広い視野で人間を見る目を持ちつつ、自分の診療科では医師としての特殊性を持てるような専門領域を突き詰める必要もあります。医師という仕事に、簡単に手に入るゴールはありません。一生勉強。だからこそ自分のしたいことに素直になって、楽しむことが大切なのだと思います」

江澤佐知子(えざわ・さちこ)/1973年東京都大島町生まれ。98年埼玉医科大学卒。2009 年NASA/JAXA 宇宙飛行士選抜女性唯一のファイナリストに。12年早稲田大学法学部入学、同大学法学博士課程で研究を続ける。産婦人科医として臨床を主軸に産業医、NPO 活動など多方面で活躍中。南流山レディスクリニック顧問、TBSテレビ番組審議会委員会委員。

(神 素子)

※週刊朝日ムック『医者と医学部がわかる2022』より抜粋