※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 うつ病、統合失調症、不安症といった精神疾患を持つ人の半数は10代半ばまでに発症しており、全体の約75%が20代半ばまでに発症しています。思春期の子どもが精神疾患(心の病気)かもしれないとき、親はどう行動すればいいのでしょうか? 学校は休ませるべきでしょうか? 精神科医で東京都立松沢病院院長の水野雅文医師が執筆した書籍心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)から一部抜粋して、Q&A形式でお届けします。<<後編に続く→「高校生のわが子が精神疾患になり通学できない、学校をやめるべき?」 親の悩みに精神科医がアドバイス>>

【心の病気、早期症状チェックリスト】

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Q 子どもが精神疾患かもしれません。親はどうすればいいですか?

A まず、本人の話を聞きましょう。そのときに注意してほしいのは、片手間ではなくしっかりと子どもに向き合って真正面から真剣に話を聞く、ということです。思春期で親子間の会話が減っていると、親はなんとか話をしてもらおうとして、大事な話を雑談に挟み込んだりさりげなく聞こうとしたりしがちです。その結果、「あなたのことを心から心配している、真剣に考えている」という姿勢が伝わりづらくなってしまいます。子どもは会話を求めているのかもしれません。

 また、「周囲が心配していること」と「本人が苦痛に感じていること」というのは必ずしも一致していないもの。根掘り葉掘りというよりも、「子ども自身が何に困っているのか」を知ろうとしてあげてください。そうすることで、子どもは「自分の苦痛をしっかり受け止めようとしてくれている」と実感できます。

 逆に本人が苦痛に感じていない部分で「いやあなたは、前はそんなことはなかった、おかしいわよ」と言ったところで、本人はなかなか認めることはできません。本人が困っていることや本人の苦痛に十分共感したうえで、かかりつけのお医者さんや精神科を受診しましょう。

Q 子どもが学校を休みたいと言います。行かせるべきでしょうか?

A いろいろな考え方がありますが、無理に行かせなくてもいい、休みたいと言っているなら休ませればいい、と私は思っています。ただ、無制限に休ませるというのではなくて、「今日はゆっくり休むといいよ」とか「3日くらい休んで様子を見ようか」というように、ある程度節目をつくるようにする。子どもと一緒に「休んでみてどうだったか」「気持ちは落ち着いたのか」といったことを振り返りながら、次にどうすべきかを考えていきましょう。

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