「誰でも通ることができる道路が、よく見るとトンネルのような『見えにくい』状態になっていることがあり、実際にひったくりや痴漢などの犯罪が発生しています」

 ネット上では、以前から自家用車などの盗難についてもストリートビューの悪用が指摘されていた。先の空き巣被害同様に、ネット上で“下見”をすることで目星をつけられるという懸念だ。グーグルマップは、人や家などに「ぼかし」を入れるようにリクエストすることができるが、小宮教授は「入りやすくて見えにくい」状態を改善することが先決であり、「ストリートビューを使われようが現実世界であろうが、取るべき対策は同じ」として、こう続ける。

「防犯カメラ設置が予算的に難しい場合、今回のように居住者が亡くなった直後の空き家であれば、門や扉にロープやチェーンを張って『入りにくくする』。新聞や郵便物が郵便受けにたまったままにしないなど、人が立ち入っていることを分かるようにして『見られている』と思わせればいいのです。ストリートビューで探して実際に現場に行ったとき、よく管理されていて人の出入りの気配があれば空き巣は警戒して、その家をターゲットにしない可能性が高まるのです。さして難しいことではないはずなのに、なにもせずに被害に合う事例が目立ちます」

 グーグルなどサービスを提供する側も、犯罪を助長しないよう細心の対策が必要だろう。ただ、まずは現実世界で、基本の対策をとることが肝要だ。

(AERAdot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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