甲子園球児への強制わいせつ容疑で逮捕された31歳の高校元講師兼野球部コーチが、「Go To トラベル」の給付金を不正受給した詐欺容疑でも逮捕され、波紋を広げている。

イメージです(GettyImages)
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 大阪府警は1月12日、大阪偕星学園高校(大阪市生野区)野球部の元講師兼野球部コーチ、水落雄基被告(31)、同校元監督の山本セキ容疑者(53)、岡山県津山市の旅館「文乃家」経営、吉間俊典容疑者(54)を詐欺容疑で逮捕した。3人は野球部の遠征合宿に、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の給付金を不正受給したという。

 夏の甲子園に投手として出場経験もある水落被告は昨年8月、野球部員への強制わいせつ容疑で大阪府警が逮捕。その後、監督の山本容疑者も責任とる形で依願退職していた。

 山本容疑者は2015年夏、大阪大会では、大阪桐蔭高校を下し同校を甲子園初出場に導き、3回戦にまで進出させた実績がある。野球部員の保護者はこう話す。

「学校近くの寮に選手を住まわせ、朝から唐揚げや鍋など、大量の食事を用意。選手たちを徹底的に選手を鍛え上げる熱血漢で名物監督でした。高校野球の監督としては規格外の豪快さで、その指導を受けたいと大阪以外からも選手がきていた」

 しかし、コーチだった水落被告の強制わいせつ事件が発覚後、次々と山本容疑者や野球部にスキャンダルが明らかになったという。

 今回の「Go To トラベル」事件が明るみに出たきっかけは、水落被告の強制わいせつ事件だった。

「部員たちになぜ、性的な行為に及んだのか。捜査員が水落被告に聞いたときに『山本容疑者のパワハラで参っていた。また、Go To トラベルで不正に加担させられた』と供述。そこで、調べると詐欺容疑が浮上した」(捜査関係者)

 同校野球部は、全国の強豪チームと戦って実力を磨こうと、積極的に大阪府外へ遠征に出かけていた。その際、遠征費用として部員の保護者は5千円前後の負担があったという。同校野球部のOBがこう話す。

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水落被告の供述がきっかけで詐欺事件