助ちゃんこと豆助(左)と豆太、約1歳の時(提供)
助ちゃんこと豆助(左)と豆太、約1歳の時(提供)

 飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回お話を聞かせてくれたのは、岐阜県在住の自営業、のんさん(50)。4年前に犬を迎え、1年8カ月前に、子を2匹迎えました。そのうち1匹は、病気のせいでずっと小さいまま。獣医さんに、「長生きは難しいかも」と言われたそうですが、日々、たくましく生きています。

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 この大きさに育つまで、本当に大変でした……。写真のとおり、とても小さい。昨年8月末にやっと1キロになったのです。

 写真の大きいほうが「豆太」で、小さいほうが「豆助」です。私はいつも助ちゃんと呼んでいます。豆太と助ちゃんは「親子?」とよく聞かれますが、2匹は同じ年で、約1歳8カ月なんです。

 豆太と助ちゃんと私の出会いは、2020年の6月。

 近所に住む親戚から「倉庫のマットに母猫と子猫が寝ている」と連絡がありました。そのとき、動物愛護団体に捕獲されたのが、母猫と、子猫3匹でした。子猫は、豆太と助ちゃん、もう一匹の兄弟猫でした。

 ガリガリな子がいて、それが助ちゃんでした。助ちゃんは倉庫で親戚を見つけると、「おじさん助けて~」といわんばかりに、体によじ登ってきたそうです。

 生命力が強いと思いましたが、そこからが試練でした。

のんさん宅に来た頃、助ちゃんは小さく毛も薄かった(提供)
のんさん宅に来た頃、助ちゃんは小さく毛も薄かった(提供)

 豆太と助ちゃんはうちで世話をしながら、里親を探すことにしました。兄弟猫は別の方が預かりました。

 そうなのです。初めは家で飼うつもりはなく、面倒を見ながら“飼える人を見つける”つもりでいたのです。家ではすでに犬を飼っていました。さらに2匹の子猫となると、ちゃんと育ててめんどうを見ることができるのか。最初は夫が渋っていたのです。

 だから元気に“婿入り”できるといいと思っていたのですが、助ちゃんの調子が悪い。よく吐く。フードもあげはじめたのですが、とにかく吐いたのです。

 周りに聞いてみると、「猫ってそんなものよ」という。吐く時に鼻からも泡を出して苦しそうなのに、動物病院に連れていっても、獣医師の先生は「こういう子いるんだよ。固形で吐くなら一生ミルクだね」と軽く説明するだけ。

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水野マルコ

水野マルコ

水野マルコ/1961年生まれ。ライター。猫と暮らして30年。今は優しいおばあちゃん猫と甘えん坊な男子猫と暮らしています。猫雑誌、一般誌、Web等での取材歴25年。猫と家族の絆を記すのが好き。猫と暮らせるグループホームを開くのが夢。

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3軒目の病院で言われた厳しい現実