阪神の佐藤輝明
阪神の佐藤輝明

 昨年の球界を盛り上げたのがルーキーたちだった。特に阪神は新人3人が躍動。ドラフト1位で4球団が競合した阪神・佐藤輝明は新人の日本人左打者で最多の24本塁打をマーク。同じく阪神のドラフト2位・伊藤将司も2ケタ勝利に到達し、球団新人左腕では1967年の江夏豊以来2人目の快挙を達成した。ドラフト6位の中野拓夢は正遊撃手の座をつかみ、30盗塁でタイトルを獲得した。

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 この3人だけではない。セ・リーグで見ると、広島のドラフト1位・栗林良吏は開幕から守護神に抜擢されて防御率0.86で37セーブをマーク。侍ジャパンでも抑えを務め、東京五輪で金メダル獲得に大きく貢献した。DeNAのドラフト2位・牧秀悟は史上4人目の新人で打率3割&20本塁打をクリア。シーズン終盤は4番を担い、風格すら漂っていた。

 ルーキーイヤーで活躍した選手たちが乗り越えなければいけない壁が、「2年目のジンクス」だ。相手球団もやられっぱなしではない。データを見直して徹底的に分析する。過去の新人王に輝いた選手を調べると、2年目に成績を落とした選手が多い。阪神・高山俊は1年目の2016年に134試合出場で打率.275、8本塁打、65打点の好成績をマークしたが、17年は103試合出場で打率.250、6本塁打、24打点と打撃の状態が上がらず規定打席に到達できなかった。栗林同様に1年目から守護神に抜擢されたDeNA・山崎康晃は15年に37セーブ、16年も33セーブを挙げているが防御率は1.92から3.59に悪化。乱調の登板が続き、守護神を剥奪された時期があった。プロの壁にぶち当たるだけなく、故障により戦線離脱するケースも少なくない。

 佐藤はどうだろうか。昨季は開幕から首位を快走するチームの中心選手として輝き84試合出場で打率.267、20本塁打、54打点と本塁打を量産したが、8月下旬から59打席連続無安打とスランプを味わい、ファーム降格も経験。後半戦は4本塁打と持ち味の長打が影を潜めた。

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