巨人の次世代のエース候補・堀田賢慎(写真提供・読売ジャイアンツ)
巨人の次世代のエース候補・堀田賢慎(写真提供・読売ジャイアンツ)

 昨年はセ・リーグ3連覇を逃し3位に沈んだ巨人。シーズン後の補強も今のところは新外国人選手とドラフトだけと比較的静かなオフとなっている印象を受ける。今季から新たに3年契約を結んだ原辰徳監督もチームを作り替えると明言しているが、そんな中で大きな焦点となるのがエースである菅野智之の後継者問題だ。

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 菅野は沢村賞2回、最多勝3回、最優秀防御率4回など数々のタイトルを獲得し、2010年代のチームを支え続けてきたが、過去3年間は故障による離脱が目立ち、昨年はキャリアワーストとなる6勝という成績に終わっている。体調さえ万全ならまだ二桁勝利をマークする力はありそうだが、今年で33歳という年齢を考えると次世代を担う先発の太い柱が必要なことは間違いない。ここ数年の成績を見ると戸郷翔征、高橋優貴の名前が挙がるが、投球内容を見ても相手打者を圧倒するようなスタイルではなく、先発の3番手くらいというイメージがしっくり来るだけに、ポスト菅野として今年以降の大化けが期待できる候補を探ってみたいと思う。

 スケールの大きさという意味で最も可能性を感じるのが2019年のドラフト1位で入団した堀田賢慎だ。プロ入り直後に右肘の故障が発覚し、1年目の4月にいきなりトミー・ジョン手術を受けて長期離脱。オフには育成選手として再契約となったが、その後は順調なリハビリを続けている。昨年8月には三軍戦で実戦初登板を果たすと、ストレートの最速は故障前を更新する155キロをマーク。シーズン後のフェニックスリーグでは2試合、5回を投げて無失点のピッチングを見せた。

 高校時代から悪い癖のないフォームが魅力だったが、体つきは明らかに一回り大きくなり、力みなく速いボールを投げられるようになった印象を受ける。シーズン終盤に見せていたストレートの勢いは一軍でも十分に通用する予感を感じさせるものだった。課題は変化球の精度と長いイニングを投げるスタミナ面になるが、フェニックスリーグで見せたようなピッチングを続けることができればキャンプ中の支配下登録、そして開幕一軍争いに加わることも十分に考えられるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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