ヘブライ大学の学生に話す渡邉さん(ニシム・オトマズキン提供)
ヘブライ大学の学生に話す渡邉さん(ニシム・オトマズキン提供)

 私の教え子たちは、戦後の日本政治や社会について学んでいます。この日参加した学生たちは、日本の政治史、政治経済、選挙制度、政治文化、社会、外交関係について専攻しており、その実態を知りたい学生にとっては、このように日本人に直接会って質問できることは絶好の機会でした。

 日本語、韓国語、中国語、英語に堪能な渡邉さんは1995年、日本人の父と韓国人の母の間に東京で生まれました。ご両親は中国語を勉強するために滞在していた香港で出会い、結婚して日本に引っ越しました。渡邉さんは、日本で、次に中国で、そして後にアメリカで育ったそうです。この多文化環境で育ったことが彼女の現在に大きく影響しているといいます。彼女はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で、国際開発の学士号を取得しています 。アメリカでも難関な大学の一つです。2018年に大学を卒業した後、都内の企業で働きながらミスコンテストに挑戦してきたそうです。

8000冊以上の日本語の漫画があるイスラエルの図書館で(ニシム・オトマズキン提供)
8000冊以上の日本語の漫画があるイスラエルの図書館で(ニシム・オトマズキン提供)

 彼女の個人的な話は特に学生に魅力的でした。彼女はアメリカに住んでいた10代の頃、国籍の異なる両親を持ち、外国に住む複雑な背景の日本人としてアイデンティティー危機に直面したと話していました。その時に両親の励ましを受け、自尊心を高める方法として美容ケアに興味を持つようになり、これが最終的にミス・ユニバース世界大会出場という機会を彼女にもたらしました。

 またサステナビリティーのある環境関連技術や起業家精神に興味を持ち、国際開発を学ぶことを選んだことも学生に話してくれました。この彼女の人生経験とビジョンは学生に強い印象を残しました。

 学生との面会の後、渡邉さんはヘブライ大学に併設されている日本語図書館を訪れました。中東最大の日本語図書館ですが、彼女は、日本語で8000冊以上の漫画を持つ私たちの漫画図書館を知って特に驚いていました。日本の文化を専攻する学生にとって、漫画は最も人気のある分野の一つなのです。

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