中日・鈴木博志(左)と楽天・藤平尚真(写真提供・中日ドラゴンズ/東北楽天ゴールデンイーグルス)
中日・鈴木博志(左)と楽天・藤平尚真(写真提供・中日ドラゴンズ/東北楽天ゴールデンイーグルス)

 1月に入り、プロ野球界ではルーキーの入寮、そして合同自主トレが話題となる時期となってきた。どの球団も1位指名の選手は特にその一挙手一投足が注目を集めることとなるが、その一方で年々立場が苦しくなっている選手も少なくない。今回はそんなそろそろ結果を出したいかつてのゴールデンルーキーについてピックアップして紹介したいと思う。

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 昨年は山本由伸(オリックス)が高校卒5年目にしてリーグMVP、沢村賞などタイトルを総なめにしたが、同学年で高校からドラフト1位でプロ入りしながらもうひとつ殻を破り切ることができていないのが寺島成輝(ヤクルト)と藤平尚真(楽天)の2人だ。寺島は4年目の2020年にリリーフで30試合に登板して1勝3ホールド、防御率2.48と活躍。昨年は先発ローテーション入りの期待もかかったが、結局一軍でわずかに1試合の登板と再び二軍暮らしのシーズンに終わった。フォームに目立った欠点はなく、大型左腕の割にコントロールも決して悪くないが、一軍レベルで長いイニングを投げるとなると頼れる変化球が不足している印象を受ける。

 一方の藤平も1年目に3勝、2年目に4勝と順調な滑り出しを見せたかのように見えたが、3年目の2019年以降は勝利を挙げることができておらず、昨年は5年目にして初めて一軍登板0試合に終わっている。二軍での成績も2019年は9勝2敗だったのが2020年は1勝0敗、2021年は0勝6敗と悪化しているのは非常に気がかりだ。コントロールを気にしてか以前と比べてもフォームの躍動感と伸びやかさがなくなっているように見える。以前のフォームに戻せば良いという簡単なものではないが、何かを変える必要があることは間違いないだろう。

 救いは所属しているヤクルト、楽天ともに投手陣が決して盤石ではなく、まだまだ入り込む余地があるという点だ。ヤクルトは左の先発が大ベテランの石川雅規と昨年終盤にブレイクした高橋奎二以外は未知数で、楽天も先発、リリーフともにベテランが多い陣容となっている。今年で6年目を迎えるが24歳とまだまだ若さがあるだけに、高校時代に見せていた輝きを取り戻してくれることを期待したい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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