放送作家の鈴木おさむさん
放送作家の鈴木おさむさん

 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、「運」について考えます。

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 僕は運がいいと言われます。確かにそうです。いろんな人との出会いがとても多い。

 昨年もたくさんの出会いがあった。「縁」をつなげて「円」にするが僕が大事にしていること。

 僕の高校の後輩でマンボウやしろという男がいます。彼はカリカというコンビで芸人をやっていて、解散してから今は、東京FMの「スカイロケットカンパニー」という帯番組の司会をやっていてとても人気です。彼は脚本を書いたり、舞台の演出もたくさんしています。

 僕が30歳。放送作家を始めて10年たった時に、高校の後輩である彼から久々に電話が来ました。芸人を始めて数年たち、ようやく自分たちの単独ライブを出来るようになったと。なので「久々に会いませんか?」という電話だった。

 それまでの僕はもう、仕事だけで時間が過ぎていく。外に出ることもない。息苦しい毎日。その年にやったドラマがヒットはしたけど、自分の能力のなさを痛感し、これからどうやって仕事をして行こうかと悩んでいる時に、やしろ君から電話があったのです。

 やしろ君と久々に会い、彼らと年の近い芸人さんをたくさん紹介してもらいました。その時に、才能はあるけど売れない芸人さんってこんなのいるのかと驚きました。

 そこからそんな芸人さんたちと毎週、飲みに行くようになり、その流れで、うちの妻と出会って結婚するわけです。あの時、やしろ君が誘ってくれなかったら、外に出てなかったら、

 妻と出会うことはなかったんだなと思います。

 あれ以来、外に出て人と会うことを積極的にしています。そこから好奇心という能力が鍛えられていった気がします。

 昨年末、仕事で大阪に行きました。夜、ご飯を食べて、梅田のホテルに戻ろうと思ったのですが、ちょっとだけ飲みに行こうという話になり、一緒に仕事をしていたスタッフA君と梅田の街に。ただ、街に詳しくないので、思い切ってGoogleで「Bar おもしろい」と検索したら、すぐ近くのお店がヒット。その名前は「ドン釜ワールド」と書いてあるじゃないですか。すごい名前。HPには「私たちドン釜ワールドは、大阪梅田のショーハウスにてニューハーフたちが美しくきらびやかに舞うショーを皆様にお届けしております」と書いてある。僕の好奇心の虫がうずく。せっかくだから行ってみようということになる。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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僕の目の前に座り「私、同郷よ」