紅白歌合戦が行われた東京国際フォーラム
紅白歌合戦が行われた東京国際フォーラム

 紅白歌合戦視聴率は本当に低いのだろうか――。ビデオリサーチ調べによると、昨年大みそかの「第72回NHK紅白歌合戦」の平均世帯視聴率で午後9時から11時45分までの第2部が関東地区で34・3%と史上最低だったという。前年より6.0ポイント減で、過去最低だった2019年の37・3%を下回った。ライバルの日本テレビが年末恒例の特番として放送していたバラエティー番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで 笑ってはいけないシリーズ」が休止となったため、「紅白歌合戦に視聴者が流れるのでは」とする声もあったが、そのもくろみは外れる形となった。

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 ただ、民放のテレビ制作スタッフは「この時代に30%を超える視聴率を取れるんだから、紅白歌合戦はお化け番組ですよ」と評価する。

「今は家族で卓を囲んでテレビを見る時代ではない。Z世代(1990年後半から2000年代に生まれた世代)はその傾向が顕著です。テレビ以外にも娯楽があふれているので、紅白を大みそかに見る文化がない。その中で35%近くも視聴率を取れるのだからすごいですよ。個人的には視聴率という物差しでコンテンツの魅力を測るのも時代にそぐわないと感じます。テレビでなく、インターネット動画配信サービスの『NHKプラス』で見た人たちもいるでしょう。テレビの視聴率だけで判断されますが、実際に視聴した人はもっと多いと思います。番組を見ると演出に創意工夫が凝らされていましたし、完成度は高かったと思います」

 過去の平均視聴率を見ると、1963年に81.4%と史上最高を叩き出し、その後も1984年までは80%前後の高い数字をキープ。まさに「国民的娯楽」だった。ただ、テレビしか娯楽がなかった一昔前とは時代が違うため、数字だけを見て「低視聴率にあえいでいる」と判断するのも違和感を覚える。

 気になるのは番組の「質」だ。今回の紅白歌合戦を見た視聴者からは「紅白への個人的希望。全てフルで生歌、生演奏。昔はこうだったよね? たしか。歌合戦なんですから、歌で勝負ですよ。だったらまずは歌詞のカットなしでフルで歌ってもらいましょうよ!そして生歌、生演奏ですよ!全出演者がこれで勝負してくれるなら、私は観る」、「余興が長すぎて肝心の歌が短い。生歌を軽視してコンテンツとしての限界を感じる」などネット上で不満の声が。

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