能力の高い捕手をそろえていることは間違いない。だが、軸になる正捕手を固定できない悩みを抱えているのが巨人だ。

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 シーズンが始まる前は強打が魅力の大城卓三、守備力に定評がある小林誠司、経験豊富な炭谷銀仁朗、将来を嘱望される岸田行倫と、それぞれ特色が違う4選手が正捕手争いを繰り広げて他球団から「捕手王国」と羨望の眼差しを向けられた。ところが、シーズンに入ると「絶対的な捕手がいない」という課題に直面する。炭谷は金銭トレードで7月に楽天へ。正捕手に最も近いとされていた大城は配球面で疑問符をつけられることが増え、大失速したシーズン終盤はスタメンから外れる機会が増えた。かつての正捕手・小林も打率.093と打てなさすぎる。岸田も先発マスクは3試合にとどまった。

「大城は今季リーグトップの盗塁阻止率.447をマークしました。ただ、配球面では野球評論家に苦言を呈されることが少なくない。打力でアピールしたいところですが、打率.237、11本塁打という数字では物足りない。先輩の阿部慎之助、西武の森友哉は『打てる捕手』の代表格ですが、大城はまだ遠く及ばない。小林の課題は打力アップにつきますね。打てないだけでなく、走者を送るチームバッティングもできないケースが目立った。9番に投手が入ることを考えると、アウトになる可能性が高い打者を2人並べるのは厳しい。岸田は『未来の正捕手』と言われていますが、25歳。同学年で仲の良い岡本和真は2年連続2冠王と球界を代表するスラッガーとして活躍しています。岸田を中心に据えるなら、失敗にも目をつむって起用し続ける覚悟が求められます」(スポーツ紙記者)

 リーグ3連覇を逃した今年9月以降に10勝25敗8分と大失速した。前半戦に勝ち頭だった高橋優貴、戸郷翔征が試合を作れずに崩れるケースが多かったのは要因の一つだが、打者を抑えるのは投手と捕手の共同作業だ。扇の要として託せる捕手に物足りなさが残った。

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大きすぎる阿部コーチの存在