鎌田浩毅氏提供
鎌田浩毅氏提供

 鎌田氏によると、最初に起こるのは、低周波地震と呼ばれる小さな地震だ。富士山には山頂から20キロ地下に「マグマだまり」と呼ばれるマグマに満たされた場所がある。マグマが活動を始まると、マグマだまりの上部、地下15キロ付近で小さな地震が起きる。

 さらにマグマが上昇すると、「高周波地震」が起きる。人が揺れを感じることのできる地震だ。マグマが上昇するに従い、地震が起きる深さはどんどん浅くなっていく。

 そして最後に、「火山性微動」と呼ばれる細かい揺れが発生する。火口から数百メートルほどの深さで、マグマが地表に出る直前の状態だ。ここまでくると、30分から半日程度で噴火することになる。

 鎌田氏はこう語る。

「東日本大震災の4日後に起きた富士山直下の地震は、マグマだまりの少し上で起きた高周波地震です。マグマだまりの天井が割れたと考えられています。すでに富士山は噴火のスタンバイ状態です。南海トラフ地震が起きて再び大きく揺れれば、噴火の引き金になる。南海トラフ地震は2030年代、遅くても2040年までに確実に起きると見ています。地震対策と同じ程度に噴火の対策もするべきです」

(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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