大手広告会社・電通社員だった高橋まつりさん(当時24)が2015年12月に過労自殺してから12月25日で6年が過ぎた。
まつりさんは東京大学の学生時代、週刊朝日のアルバイトスタッフとして、記事の編集などを手伝ってくれていた。
まつりさんの母、幸美さん(58)の姿は静岡県裾野市にあるまつりさんのお墓の前にあった。
「ここにくると、まつりを助けられなくてごめんねという気持ちになります。たぶん、まつりは会社がつらくても私が心配するからと辞めるとは言い出せなかったような気もします。本当、親孝行な子でした。まつりのことは一瞬たりとも、忘れることはありません」
幸美さんはAERAdot.のインタビューで、こう打ち明けてくれた。
「毎年クリスマスになると、涙が止まらなくなりますね。今の軽乗用車は、もう15年くらい乗っていて、そろそろ買い替えなきゃと思うのですが、まつりを送り迎えするのにずっと使っていた。思い出が一杯詰まっているのでなかなか、買い替えができませんね」
幸美さんは5年前から厚生労働省の「過労死等防止対策推進協議会」遺族委員を務める。過労死等防止対策推進シンポジウムでは全国行脚し、経験談と過労死の防止を語っている。
幸美さんが最近、気になったニュースは、17日に大阪・北新地の心療内科クリニックが放火され、25人が亡くなった殺人事件だという。
「現場のクリニックでは、リワークという社会復帰のためのプログラムを受けるため、多くの人が来ていた時、放火されたとニュースで報じられていました。それがショックでした。クリニックの場所は北新地で、会社勤めなどで精神的に厳しい方が通われていたのだろうと察します。前向きに一生懸命、頑張っている人に対し、許せない犯行です。同時に精神的に追い詰められ、クリニックに通い、リワークで頑張ろうとしている方々が少なくない。まだまだ、日本の労働環境、法整備も不十分ではないのかと感じました」