ちなみにリーディング20位以内に入っているディープ産駒はキズナのみ。偉大な父が種牡馬として長く活躍すると、最初の頃の産駒は父自身がライバルとなってしまうため種牡馬として大成しにくいのは競馬あるあるだ。ディープ産駒初のダービー馬で早期引退したディープブリランテなどはもろに割を食った馬だろう。

 産駒デビュー前から高い評価を集めているのはサトノダイヤモンドとリアルスティール。サトノダイヤモンドは3歳で菊花賞と有馬記念を連勝したが古馬になってからはG2京都大賞典を勝ったのみだった。母がアルゼンチン産のG1馬で母父はダンチヒ系ながら地味な短距離馬オーペンという異色の血統だが、産駒の出来は総じていいと高評価を受けており、20年は145頭に種付けした。

 リアルスティールは皐月賞と菊花賞が2着でダービーが4着と勝ちきれなかったが、これは同期がドゥラメンテにキタサンブラックという不運もあってのもの。4歳春にG1ドバイターフを制して実力を証明した。母父が米国の大種牡馬ストームキャットで、全妹には米G1ブリーダーズカップフィリー&メアターフや香港カップ勝利など海外で大活躍したラヴズオンリーユーがいる。

 さらに3代母ミエスクは欧州史上に残る名マイラー(名種牡馬キングマンボの母でもある)で、母の半姉ランプルスティルツキンは欧州最優秀2歳牝馬に選出されるなど一族に活躍馬が多数の良血だ。2歳戦から長く活躍し、距離適性もマイルを中心に幅広くなりそうな気配がある。20年の種付け数はサトノダイヤモンドを上回る176頭。ちなみにこの両馬の産駒は22年デビューなので、特に仕上がりが早そうなリアルスティール産駒のスタートダッシュには注目したい。

 このほかにも、23年に初年度産駒がデビューするアルアインやロジャーバローズ、24年デビューのフィエールマン、そして来年に種牡馬入りして25年に産駒デビューの大本命コントレイルらが控えているディープ産駒だが、現役時代に輝かしい成績を残せずとも種牡馬として大逆転があり得るのが競馬の面白いところ。ディープ産駒にもそんな隠し玉が存在する。それは今年に初年度産駒がデビューしたシルバーステートだ。

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ディープ産駒は種牡馬としても活躍できるのか…