野手で注目を集めそうなのはサンズ(前阪神)だ。昨年は110試合で19本塁打、今年も120試合で20本塁打を放っており、広い甲子園を苦にしないパワーは大きな魅力だ。来年で35歳という年齢と、今シーズン後半に失速した点は不安材料だが、長打力不足のチームにとっては面白い存在と言える。

 そして年齢的にサンズよりも若く、日本の野球に慣れているという点で狙い目と言えそうなのがモヤ(前オリックス)とメヒア(前広島)の2人だ。モヤは2018年に来日して中日に入団し、2019年シーズン途中にオリックスへ移籍。外国人枠の問題もあって二軍でプレーすることも多かったが、それでも3年連続で二桁ホームランを放っており、今年はキャリアハイとなる81安打、13本塁打をマークしている。201cmという大型選手で、軽く振っているようでも飛距離の出るバッティングが持ち味だ。セ・パ両リーグを経験しているというのも大きな武器と言えるだろう。

 一方のメヒアはドミニカのカープアカデミーから来日して2016年に育成選手として入団。翌2017年の7月には支配下契約を勝ち取っている。これまでのキャリアハイは2019年の42安打、7本塁打とそこまで目立った成績を残すことはできていないが、二軍では見事な成績を残しており、とらえた時の打球の飛距離は圧倒的なものがある。過去2年間は一軍での出番が限られて少しバッティングが小さくなっているように見えたが、一軍デビューした頃の思い切りの良さを取り戻すことができれば、ブレイクの可能性は十分にあるだろう。来年でモヤは31歳、メヒアは29歳とまだまだ若さがあり、高額な年俸を支払わずに獲得できる可能性が高いというのも魅力である。

 今年も昨年まで日本ハムでプレーしていたマルティネスがソフトバンクでエース格となっており、他球団での再生が期待できる選手は他にもいるはずだ。ここで名前を挙げた選手たちが、第2、第3のマルティネスと言えるような活躍を見せてくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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