長渕剛さん(オフィスレン提供)
長渕剛さん(オフィスレン提供)

 ミャンマーでなぜこの曲が好まれているのか。

 住民に聞いてみると、「辛いことがあった友人を励ますためだ」と話す。先行きの見えない暮らしの中で、同じ境遇にある仲間同士、この歌を歌いながら互いを支え合っているという。

 キャンプでの取材が終わり、真っ暗なトンネルに彼らを置き去りにしていくような後味の悪さを噛みしめていると、キャンプの責任者を務めるコドさんが最後、歯のない笑顔でこう言った。

「またここに来てほしい。そして、私たちのことをどうか忘れないで」

 (東南アジア専門ジャーナリスト・泰梨沙子)

◆はた・りさこ 2015~21年、アジアの経済情報を配信する共同通信グループ系メディアで記者を務める。タイ駐在5年を経て、21年10月に独立。フリージャーナリストとしてタイ、ミャンマー、カンボジアの政治・経済、人道問題について執筆している。