韓国人選手のソク・ヒョンジュン(Getty Images)
韓国人選手のソク・ヒョンジュン(Getty Images)

 フランスサッカー1部・リーグアンのトロワに所属する韓国人FWソク・ヒョンジュンに対して人種差別的な発言があったとして、同クラブが公式サイトで抗議する声明を発表して大きな反響を呼んでいる。

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 事件が起きたのは11月28日に行われたマルセイユ戦だった。報道によると、無観客開催だった同試合は「アマゾンプライムビデオ」で中継され、マルセイユのベンチ付近に設置されたマイクから人種差別的発言が発覚したという。ソク・ヒョンジュンがマルセイユのセネガル人MFを倒したシーンで「サムライが2度もボールを奪った」、「彼は寿司を作るんだろ」などの発言が聞かれたという。

 トロワは公式声明で「受け入れられない発言でサッカーという本質的に多種多様な文化を汚す発言です。クラブはすべての人種差別や外国人排斥に対し、強く非難する」とマルセイユ側に抗議。マルセイユは発言者を特定していないが、トロワ側に謝罪したという。今後はLFP(フランス・プロリーグ機構)規律委員会が対応するとみられる。

「スシやサムライは日本人を形容する時に使われる言葉で、元日本代表FW高原直泰もドイツでプレーしていた際に『スシボンバー』という愛称がつけられていました。今回の件も日本人から見れば『スシ、サムライで何が差別なの?』と捉える人もいるかもしれませんが、韓国では見方が変わってきます。日本人がキムチと呼ばれたら、差別だと感じる人が多くなるのと一緒です。非常に難しいのが、欧米では当事者にその意識がないまま、アジアの人たちに差別発言が発せられることが多い。欧州では日本、韓国、中国を同じくくりのアジア人として見ている人たちが少なくない。無意識に発せられる言葉はなかなか改善しないですが、受け手が不快な思いをすれば差別になります」(スポーツ紙記者)

 人種差別発言により、重い処分を受ける事例は後を絶たない。東京五輪をめぐり、開閉会式のショーディレクターだった小林賢太郎氏が過去にナチス・ドイツが行ったホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)をネタにしたコントを行っていたことが判明し、米ユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が抗議の声明を出したほか、ネット上で批判が殺到して解任される事態に。

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