ヤクルトの内川聖一(写真提供・東京ヤクルトスワローズ)
ヤクルトの内川聖一(写真提供・東京ヤクルトスワローズ)

 プロ野球の日本シリーズも終わり、ストーブリーグ、契約更改も本格化する時期となってきた。戦力外通告期間は11月29日に終了となり、イレギュラーなケースを除いてここから自由契約になることは考えづらいが、何とかチーム残留が決まりながらも、もう後がない状態の選手も少なくない。今回はそんな“崖っぷち”からの再起を目指す選手をピックアップしてみたいと思う。

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 まずこのオフにあらゆる意味で非常に厳しい状況に立たされているのが平田良介(中日)だ。長く外野の一角として活躍し、FA権を取得した2016年オフには権利を行使せずに5年の大型契約でチームに残留。しかしここ数年は故障で成績を大きく落とし、今年は異型狭心症を発症するなどレギュラー獲得後としては最低の数字に終わり、1億5000万円の大幅ダウンで契約更改となっている。現在も診察を継続しているというが、プレーに関しては影響ないところまで回復しているのは好材料だ。

 チームは立浪和義新監督を迎え、また打撃スタイルにも似たところがある中村紀洋打撃コーチが就任したことも平田にとってはプラスではないだろうか。右方向へも大きい当たりが打てる長打力は貧打に悩むチームにとってまだまだ貴重な存在である。まずは体調を万全にしてキャンプに臨むことが第一だが、豊富な経験とフルスイングを武器に鮮やかな復活を遂げることを期待したい。

 日本一に輝いたヤクルトでは内川聖一、坂口智隆の両ベテラン野手が崖っぷちに立たされている。昨年オフにソフトバンクを自由契約となり今年からヤクルトに移籍した内川だが、開幕当初はスタメンでも起用されていたものの、オスナが合流して以降は代打での起用が続き、11安打で0本塁打、2打点、打率.208と寂しい成績に終わっている。ソフトバンク時代と合わせて個人では日本シリーズ5連覇という偉業達成となったが、この数字には本人も到底満足はしていないだろう。コーチ的な役割としての面も評価されていると考えられるが、やはりその芸術的なバッティングを多く見たいというファンも多いはずだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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