藤原和博さん(「朝礼だけの学校」校長)
藤原和博さん(「朝礼だけの学校」校長)

 還暦は「第二の成人」。最新刊『60歳からの教科書――お金・家族・死のルール』(朝日新書)で、人生のエネルギーカーブについて解説する藤原和博さんは、「コンプレックスは人生に必要」と説く。とことん自分らしく生きて死ぬにはどうすればいいのか。本書より抜粋してご紹介する。

【図】3世代の「人生のエネルギーカーブ」の違いはこちら

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■自分のコンプレックスは武器になる

 人生における「死に方」について考えていきたいと思います。

 まず、やっていただきたいことがあります。

 それは「人生のエネルギーカーブ」を描くこと。

 一枚の紙を横長において、まず、大きな升のような線を引きます。左右いっぱいに縦の線を2本、下部に升の底に当たる横線というように、です。そして、この升の左下の角に「生まれる」と書き、右下の角に「死ぬ」と書いてください。

 横軸は人生の歩み。そして、縦軸は、そのときどきにおける人生のエネルギー・レベルです。あなたの知力・体力・精神力の総合力だと考えてもらってもいいし、モチベーションのレベルだと捉えてもらってもいいんです。

 0歳のスタート地点から、XX歳のゴール地点まで、自分自身がどれぐらいエネルギーを出してきたか、その「山」と「谷」を図にしてもらいたいのです。現在の年齢から終点(死)までの未来については、「どんなエネルギーカーブにしたいのか」をイメージして描いてみてください。

 描いてみると分かるのですが、「失敗」「挫折」「病気」といった一見マイナスに思える記憶が、人生の節目の重要なターニングポイントになっていることに気づかれたはずです。

 たとえば人生を「一冊の本」や「一本の映画」と見なした場合、味わい深い物語にするためには、「谷の深さ」が大事になってきます。

 著名人の伝記やビジネス書を読むときを思い出してください。成功体験と自慢話の連続を読まされることほど、苦痛なものはありませんよね。人生は山と谷の連続です。「谷の深さ」が人生というドラマに奥行きと人間味を与えてくれるのです。

 人生においては「コンプレックス」も良い味つけになります。

 メニエール病で倒れた30代の頃、私は大きく3つのコンプレックスを持っていました。

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藤原和博さんのコンプレックスとは?