写真はイメージです(Getty Images)
写真はイメージです(Getty Images)

 コロナ禍で田舎暮らしへの憧れはあるものの、都心で働く夫婦が家と買うとなればやはり首都圏の物件が現実ではないだろうか。共働き夫婦のリアルな事例事情や最近の不動産動向を探った短期集中連載「それでも夫婦は東京に家を買う」。一回目のテーマはパワーカップルとタワマン。首都圏の新築マンションの価格は高騰し、タワーマンションならば1億円超えの「億ション」も珍しくなくなった。資産家の投資用かと思いきや、普通の会社員夫婦が購入して住んでいるのだという。共働きで稼ぐ、いわゆるパワーカップルだ。

【画像】楽天、Tポイント、Ponta、LINE、dポイント…5大ポイント経済圏を徹底比較

*   *  *
東京都中央区、最寄り駅から徒歩5分、33階建ての新築タワーマンションの一部屋。窓からはいかにも東京らしい都心のビル群や湾岸エリアが一望できる。ここを約8千万円で昨年購入したのは会社員男性のAさん(41)だ。 

「夫婦ともに定年まで辞めるつもりはないので、払えると踏んで購入しました」

 都内の大手商社に務めるAさんは、広告代理店勤務の妻(40)と夫婦二人暮らし。共働きのAさん夫婦の世帯年収は、約1600万だ。頭金1千万円を夫婦の貯金で支払い、残りの7千万は35年の住宅ローンを組んだ。月々の返済額は、管理費と合わせて22万円程度。夫婦の手取り月収は合わせて78万円前後なので、毎月約28%の収入がローン返済に充てられることになる。かなり高額な買い物だが、会社の同僚には1億円超えの物件を購入した人もいるという。

 Aさんの背中を押したのは、「駅近で都心までのアクセスも良く、活気あるエリアの物件で、今後も一定の資産価値を維持できるだろう」という不動産屋の言葉。購入時と同じ8千万円の価格か、それ以上に価値が上がる可能性もあると期待している。一生住むつもりで買った物件だが、「何かあれば買った金額で手放せるはず」ということが、安心感に繋がっているという。

「言ってみれば、貯蓄効果もある買い方。もちろん高い買い物ではあるけれど、値段が下がりづらい物件を買うことは、資産防衛術とも言えると思う」(Aさん)

著者プロフィールを見る
松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

松岡かすみの記事一覧はこちら
次のページ
バブル期を超える最高値でもなぜ買える?