「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載6回目の今回は、最近増えてきている新しいタイプの入試を考える親御さんからの相談です。

MENU ■筆記型、プレゼン型、適性検査型… ■奥手の子どもでも実力を発揮しやすい ■「お得な入口」ではなく、入学後のことを考えて

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【相談6】

■筆記型、プレゼン型、適性検査型…

矢萩:最近はいわゆる「新型入試」を実施する学校が増えてきましたね。資料を読んで自分なりの意見を書く筆記型、自分が打ち込んできたものを発表するプレゼン型の入試、公立中高一貫校がやっている適性検査に準じた適正検査型入試など。安浪さんのところは、このような「新型入試」を受験する教え子さんはいない?

安浪:いないですね。うちは従来型の試験で苦しんでいる子が来る感じなので。私立が本命というご家庭がほとんどで、ときどき都立の中高一貫校を併願で受ける子もいます。この場合、各学校用の記述対策は必要ですが、私立用に積み上げてきた学習内容はやっぱり役に立ちますね。

矢萩:「新型入試」は知識の量を試すものではないからね。

安浪:でも最難関、難関校で新型入試をやっているところはないですよね。まあ、麻布などはもともと探究的な要素がかなり入った入試をやっていますが。

矢萩:あそこは別格。普通以上に知識も解答を文章で作成する力も必要です。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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