会見する木下富美子・東京都議
会見する木下富美子・東京都議

 雲隠れしていた木下富美子都議(元都民ファースト)がとうとう辞職した。木下都議は免停中に車を運転して人身事故を起こしたとして、自動車運転死傷処罰法違反などの容疑で書類送検。7回にわたり無免許運転をしていたとされる。都議会では2度も辞職勧告決議が可決されたが、今月9日には議員を続ける意向を示していた。辞職を拒み続けたが、かつて所属していた「都民ファーストの会」特別顧問を務める小池百合子東京都知事に引導を渡された格好だ。

【写真】木下都議に引導を渡した”ラスボス”はこの人

 記者会見は22日18時からだったが、3分ほど遅れて会見室に入ってきた木下都議。ネイビーのシックな装いで、うつむき加減で、入ってきた。横には弁護士がついてきた。

「私、木下富美子は、本日、東京都議会議長に辞表を提出することを決断しました。小池都知事と直接お話をさせていただき、また、支援者の方々にも改めてご相談をし、都議会議員の職を辞することを決断しました」

 冒頭、木下氏は立ったままの状態で、こう切り出した。

 その後は「私の交通法規に対する順法精神が弛緩していたことについては、本当に申し訳なく、また、猛省をいたしております」などと、反省と謝罪の言葉を並べた。

 だが、謝罪の発言は3分程度、その後、席に座り、延々と語り始めたのは、都議として自身が取り組んできた実績などだった。

「本当に多くの方々、数にして2千件を超える皆様からのお困り事。もちろんできなかったこともたくさんありますけども、その課題解決に力を尽くしてまいりました」

「私は弱い方々、特に女性たち、子どもたちの力になりたいと思ってまいりました。非正規雇用労働者には女性が多く、このコロナ禍で多くの女性たちが、雇止めなどで、職を失いました。そもそも非正規雇用労働者に女性が多いことで女性たちの平均年収は男性の7割しかないといわれています……」

「この構造をかえていくために、とりくみたかった政策があります。子育てと仕事の両立支援の拡充、子育てをきっかけに正社員をやめなくて済む人を増やすこと」

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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