記者団に頭を下げる木下富美子都議
記者団に頭を下げる木下富美子都議

 今年7月、東京都議選の期間中に無免許運転で当て逃げ事故を起こし、書類送検された木下富美子都議(55)。都議会は2度の辞職勧告をするも、木下氏は“雲隠れ”を続けていたが、11月9日に4カ月ぶりに登庁した。木下氏は記者団に「ぜひ続けて欲しい、また力を貸してほしいという声があることも事実」と辞職しない考えを示したが、本当に「続けて欲しい」という声はあるのか。木下氏の選挙区である板橋区で有権者の声を聞いた。

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 木下氏が事故を起こしたのは板橋区の高島平の交差点付近。高島平で商店を営む女性店主は壁を指しながら「この前の都議選では木下都議に投票しました」と言い、こう続けた。

「うちの店の壁には木下さんの選挙ポスターを貼っていたんです。木下都議が店にやって来て『ここへいつものように貼らせてください』とお願いされたので、OKしました」

 だが、今もうポスターが剥がされていた。

「店の誰かが剥がしたみたいですね。こんなことになって、もったいない。木下都議は一生懸命にやろうとしていたのに残念だなと思います」

 木下氏は博報堂勤務などをへて、2017年7月の都議選で板橋区選挙区から出馬し初当選。今年7月の都議選で再選した。

 板橋区内に住む60代の女性経営者は「7月の選挙のちょっと前に木下都議からフェイスブックの友達申請がきた」と語る。

「商店街の新年会では、木下さんから『何か困りごとがあったら相談の連絡をください』と名刺をいただきました。だけどそんなのは社交辞令。この辺で、木下さんに『続けて欲しい』なんて声は聞いたことがありません。逆に、まだ居座ろうとする態度に対して『ろくでもない』という声を聞きます」

 先の都議選で、木下氏を支援していた板橋区議は複雑な心境を吐露する。

「いろんなところから(非難の)電話がかかって来て、ひどい目にあっています。(木下氏には)こっちが謝ってもらいたいくらいです。あんなことをやって、まだ議員をやっていること自体がおかしいじゃないですか」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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「今では応援したことが恥ずかしい」