阪神・梅野隆太郎
阪神・梅野隆太郎

 FAは選手が長い年月をかけてつかんだ権利だ。ただ、所属球団に愛着が当然あるし、現場のトップである監督に自身の存在が必要とされていることを感じたいだろう。そこで、波紋を呼んだのが、FAで去就が注目される阪神の正捕手・梅野隆太郎に対する矢野燿大監督のコメントだった。

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 報道によると14日に取材に応じた矢野監督は、梅野の慰留について「まだ何もしていない」と直接慰留に動いていないことを告白。「自分で得た権利で周りの評価を聞きたいというのは俺も思ったし、そういうのはFAしかないんで。球団は球団で残ってもらう努力はしっかりしてくれると思う」と語った。

「矢野監督が梅野の慰留について言及するのは今回が初めてでした。マルテ、スアレスに対して残ってほしい思いを直接伝えたことを考えると、正直、梅野に対するコメントは寂しさを感じました。FAで悩める胸中を察した部分はあるかもしれませんが、梅野抜きで来季のリーグ優勝は全くイメージできません。広島の佐々岡真司監督、中日の立浪和義監督がFAの選手たちに直接出馬して慰留に動いたのを見ると、矢野監督の動きは物足りなく感じる。なりふり構わず『阪神に残ってほしい』、『ずっと一緒にプレーしたい』と伝えた方が、梅野の心に響くと思うのですが…」(スポーツ紙遊軍記者)

 佐々岡監督は共にFA権を取得した エース・大瀬良大地、今季13勝を挙げて最多勝を獲得した九里亜蓮と会食の場をセッティングして、来年も共にプレーしたい思いを伝えている。今オフに就任したばかりの立浪新監督も又吉克樹、祖父江大輔、田島慎二と10月末までに直接面談を行った。

「残留か移籍かは選手個人の決断なのでどうなるか分からないですが、監督に『残ってほしい』と言われたら、そりゃ選手冥利に尽きますよ。年俸、契約年数など条件面も大事ですが、必要とされる環境でやりたいというのが一番ですから。梅野はファンを大事にするし、阪神への思い入れが強い選手です。ただシーズン終盤の起用法を見ると考えることもあると思います。矢野監督はメディアの前でああ言っているだけで、梅野とコミュニケーションを密に取っているかもしれませんが、ちょっと不安になりますね」(阪神OB)

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