岸田総理が掲げた「新しい資本主義」の会議本部
岸田総理が掲げた「新しい資本主義」の会議本部

 なぜ、「新しい資本主義」を実現させることが必要なのか。私が思うに、「新しい資本主義」の核心は『人的資本の向上による社会変革』だと思います。従来の資本主義は、金銭的資本の向上に捕らわれていた傾向があることは否定できません。

 どこへ、「新しい資本主義」は目指しているのか。私は、岸田総理が示されている『成長と分配の好循環ある豊かな社会』が、「新しい資本主義」が目指すべきビジョンだと思います。

「新しい資本主義実現本部」のウェブサイトには緊急提言が先週掲載されました。その宣言の冒頭に『現在、世界各国において、持続可能性や「人」を重視し、新たな投資や成長につなげる、新しい資本主義の構築を目指す動きが進んでおり、我が国が持続可能性や人的資本を重視するこの動きを先導することを目指す』ことが明記されています。

 グローバルな視点で、Made With Japanという令和日本の新たな成功体験の道筋を導くことが国の基本方針になっていると、この宣言から読み取れると思います。

 ただ全文を読むと、目新しさが無いという意見もあります。今回の宣言は、今まで進めていた重要案件と補正予算との事情があると私は理解しており、内容の肉付けはこれからになると考えています。

 宣言にも『新しい資本主義実現会議では、こういった基本的な考え方を踏まえて、来春にビジョンとその具体化;、車座対話を随時開催し、多様な関係者の方々の声を丁寧に聞きながら、検討を進めていく』という今後に想定される動きが示されています。

 私は、日本の資本主義の原点が変革、トランスフォーメーションだったように、これからの「新しい資本主義」も社会変革を導くことが本質だと思います。当然ながら、議論されるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の様に、「CapX」(キャピタル・トランスフォーメーション)の議論にも期待しています。 

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非財務的な企業価値の計上も