「アイドルをやっており、社会経験がありません。世の中のことがよくわからないままに、詐欺グループの仲間になっていた。アイドルだったので友達のようにコンビニとかでアルバイトができると思わなかった」
◆山田被告が語ったアイドルの「悲哀」
世間知らずだったとアイドルの「悲哀」を説明した。そして山田被告が法廷で明かした報酬額には驚くばかり。
「月に13万円です。固定給で成功報酬はありません」
たった13万円で詐欺グループの手先となっていたのだ。山田被告と田口被告が勧誘に使用していたのは、スマートフォンの動画だった。
短時間で山田被告が大儲けしたという場面を記録した動画だったが、それも真っ赤なウソ。苦しい胸の内をこう明かした。
「おかしいと思って、やめようとしました。しかし車舘被告や(バックの組織)が怖かった。1度は辞めましたが、また呼び出されて仲間に加わった」
「勧誘している時は、いい気持ちでなかった。契約が取れなかったら、車舘被告らからきつく叱られます。怖いので、絶対に契約を取らないといけない。その場しのぎで、必死で勧誘した」
検察側は論告求刑で1年6か月を求刑し、結審した。
山田被告の弁護士は「得た利得は月額13万円、成功報酬もなく、反省して被害者と示談も成立していることから極めて悪質な犯行ではない」として執行猶予付き判決を求めた。最後に、山田被告はこう謝罪した。
「冷静に考えればわかったことだと思います。事件が大きくニュースで報じられ、自分のしたことがどれだけ重いかわかりました。大変なことをしてしまいました。被害者、家族にも迷惑かけてしまった」
判決は12月2日に言い渡される。(AERAdot.取材班)