巨人の堀田賢慎(左)と広島の小林樹斗 (c)朝日新聞社
巨人の堀田賢慎(左)と広島の小林樹斗 (c)朝日新聞社

 10月11日から11月1日まで宮崎で行われていたフェニックスリーグ。公式戦ではないものの、若手の登竜門的な試合となっており、ここでの活躍をきっかけにレギュラーの座をつかんだ選手も少なくない。今回は今年のフェニックスリーグで目立った若手選手をピックアップして紹介したいと思う。

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 まず投手で存在感を示したのが広島のドラフト4位ルーキー小林樹斗だ。高校卒1年目ということで前半戦は体力強化に専念していたが、フェニックスリーグでは開幕ゲームとなる10月11日のロッテ戦で先発を任されると6回を投げて被安打3、1失点(自責点0)、8奪三振と好投。17日と23日の巨人戦でもしっかりと試合を作り、その結果が評価されて初の一軍昇格も勝ちとっている。

 シーズン最終戦となった11月1日のヤクルト戦では先発として3回2/3を投げて6失点(自責点4)とホロ苦い一軍デビューとなったが、最速152キロをマークしたストレートと鋭く変化するカットボール、スプリットを武器に6奪三振をマークするなどポテンシャルの高さは十分に感じられる内容だった。少し単調な攻めになったところを痛打されるシーンが目立ったため、打者の目先を変えるような緩い変化球をマスターすれば自慢のストレートがさらに生きてくるだろう。広島は大瀬良大地、九里亜蓮の2人が国内FA権を取得し、その去就が不透明なため若手投手陣の底上げは必要不可欠である。同じくフェニックスリーグで先発として好投した大道温貴とともに、来年の春季キャンプではローテーション争いに加わることを期待したい。

 投手でもう1人非常に目立つボールを投げ込んでいたのが高校卒2年目の堀田賢慎(巨人)だ。2019年のドラフト1位で入団したものの、プロ入り直後に右肘の故障でトミー・ジョン手術を受けて今年からは育成選手となっている。長いリハビリを終えて今年の8月に三軍戦でようやく実戦復帰を果たしたが、いきなり150キロを超えるスピードをマークして復調ぶりをアピールしている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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際立った堀田の投球