「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。

MENU ■塾に早く入れたほうが合格しやすい、という法則はない ■合格実績を出す塾が、わが子に合うかはわからない ■4年生までは似たような塾が多いが… ■「新型入試」を受けるなら、個人塾の選択肢も

思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。連載4回目の今回は、塾選びに悩んでいる親御さんからの相談です。

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【相談4】

■塾に早く入れたほうが合格しやすい、という法則はない

安浪:この方はある意味、恵まれた環境にいますよね。通える塾がたくさんあるんですから。地方では電車に1時間乗って通える塾が一つだけ、というところが普通です。

矢萩:僕は神奈川出身なんですが、1時間電車に乗って通っていていました(笑)。まず言いたいのは、お友達が小1から塾に通っているからといって焦る必要はないですよ、ということ。

安浪:そうそう。塾に早く入れた方が合格しやすい、といった法則はないです。むしろ、低学年に模試で上位にいた子がそのまま6年生まで上位をキープして合格しました、という子は少ないかもしれない。実際は3年生で上位だった子が5、6年では姿が消えている、というケースも多いです。

矢萩:厳しいようだけどそれが現実かな。先取り学習をやっている子、小学校受験をやって小学生になってからもまた塾に行っています、というような子は3年生までは点が取れる。ただそういう子は伸び悩む可能性がある。問題をパターンで覚えていることが多いからです。低学年のうちは座学よりもとにかく遊びを含めた体験量を増やして欲しいですね。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

NEXT塾に早く入れておけば安心、というのは親の保険
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