今注目されているアーティスト・meiyo (撮影/写真部・松永卓也、hair&make up/DAISAKU MUKAI)
今注目されているアーティスト・meiyo (撮影/写真部・松永卓也、hair&make up/DAISAKU MUKAI)

「な~にやってもうまくいかな~い」。思わず口ずさみたくなるこのフレーズ。TikTokで2億超え再生を記録し、「うっせぇわ」のAdoなどに続き、社会現象を巻き起こしそうだ。歌うのは、10年以上、何をやってもうまくいかなかった男性アーティスト・meiyo(メイヨー)。開き直って「なにをやってもうまくいかない」と歌ったところ、SNSを中心に大反響を呼び、30歳にしてメジャーデビューを果たした。アーティストの素顔に迫る。

【動画】中毒者が続出!TikTok2億回再生「なにやってもうまくいかない」動画はコチラ

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 キャッチーなメロディに乗せて<な~にやってもうまくいかな~い>というフレーズを連呼する「なにやってもうまくいかない」が動画配信アプリ「TikTok」で公開されたのは、今年の7月。フォロワー320万人の人気インフルエンサー・なえなのの振り付け動画をきっかけにバズり、同アプリの急上昇ランキング1位を獲得。10月現在、この曲を使った投稿は4.9万件を超え、再生回数も2億回を突破するなど大きな注目を集めている。この曲を作ったのは、meiyo。「香水」の瑛人、「ドライフラワー」の優里などに続く、TikTok発の新たなスターと言っていいだろう。

■なにをやってもうまくいかなかった日々

「『なにやってもうまくいかない』は、自分のことをそのまま歌にした曲で、作ったときはそこまでいい曲だとも思ってなかったんです(笑)。たくさんの人がダンス動画とか“歌ってみた”(カバー動画)を投稿してくれて、“見つけてくれた”という感じですね」(meiyo)

 起死回生のチャンスを掴んだmeiyoだが、ここに至るまでのキャリアは紆余曲折の連続だった。高校時代からドラマーとして参加していたバンドはまったく注目されることなく解散。その後は「ワタナベタカシ」名義でシンガーソングライターとして活動をスタートさせ、大手事務所のイベントに出演したり、メジャーレーベルから声がかかることもあったが、契約に至ることはなかった。

 2018年にmeiyoに改名してからも鳴かず飛ばずの日々が続いたが、昨年以降、大きな転機が訪れた。きっかけは“打ち込みで曲を作ったこと”と“TikTokアカウントの開設”だ。

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森朋之

森朋之

森朋之(もり・ともゆき)/音楽ライター。1990年代の終わりからライターとして活動をはじめ、延べ5000組以上のアーティストのインタビューを担当。ロックバンド、シンガーソングライターからアニソンまで、日本のポピュラーミュージック全般が守備範囲。主な寄稿先に、音楽ナタリー、リアルサウンド、オリコンなど。

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