※写真はイメージです(Getty Images)
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 部下に仕事を指示したり、アドバイスをすると必ず「ハイ!」と元気な返事がかえってくる。それなのに、一向に仕事のスキルは上達しないし、やる気もどんどんなくなっているように見える。それは、リーダーであるあなたに「聴く」と「聞く」が足りないからかもしれません。

 米ギャラップ社認定ストレングスコーチ(R)としても活躍するSonos Japan日本代表の瀬戸和信氏は、チームメンバー全員と「強みの貸し借り」ができる「対話型リーダー」こそが最強のチームをつくれると言います。瀬戸氏の著書『「自分」を殺すな、武器にしろ』の一部を抜粋・改編して、部下が自発的に適材適所で動き、パフォーマンスを上げていくチームのつくり方についてお届けします。

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■個々のメンバーの強みを引き出す「聴き方」と「聞き方」

 対話型リーダー。

 優れたリーダー像を一言で表現しようとすると、この言葉に集約されます。おそらく、これからの社会において重要なキーワードになると僕は確信しています。

 僕は、MicrosoftやFitbitなど主に外資系企業で7度の転職を経て現在が8社目です。これまでに出会った優れたリーダーたちはみんな、自身の強みと弱みを正確に把握しているのが印象的でした。自分が得意とするところは何か、そして、どうすれば自分の力を最大限発揮できるかを把握しています。

 一方で、自分が苦手とする分野、他にもっと得意な人がいる業務については誰を頼って任せればいいのかがわかっている。つまり「強みの貸し借り」を駆使しているのです。さらに、それを踏まえたうえで目標を達成するまでの計画を綿密に描いていきます。Microsoft の生みの親、ビル・ゲイツやAppleの共同創業者であるスティーブ・ジョブズとティム・クックも然り。彼らの「強みの貸し借り」は有名なお話です。

 僕は、「強み」に育つ前の、誰しもがもつ才能の萌芽を「才能のタネ」と呼んでいるのですが、チーム内で効果的な「強みの貸し借り」をするためには、リーダーが、メンバー自身が自分の才能のタネを見つける手助けをすることが欠かせません。自覚できている強みが増えるほど、チームの力も強くなっていきます。

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対話型リーダーを実践するために何が必要なのか?