楽天の田中将大(c)朝日新聞社
楽天の田中将大(c)朝日新聞社

 またもプレーオフで敗退したニューヨーク・ヤンキース。かつて「球界の盟主」と呼ばれていた同球団は、松井秀喜がシリーズMVPを獲得した2009年以降、優勝はおろかワールドシリーズへの出場も果たしていない。ニューヨークの地元メディアやファンたちは全米一の辛口で知られており、毎回シーズンやプレーオフで敗退すれば猛烈な批判がわき起こるのだが、それは今年も同じであった。

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 ヤンキースの地元メディア『NJ.com』は、10月6日、ア・リーグの地区シリーズ最後の1枠を決めるワイルドカードゲーム(ボストン・レッドソックスに6-2で敗退)で先発を務めたゲリット・コールを「もはやヤンキースのエースではない」と痛烈に批判した。その怒りはコールへの批判だけでは収まらず、その矛先はGMにも向けられ、昨オフに田中将大(現・楽天イーグルス)との契約を見送ったことを強く責めた。

「振り返ってみると、ブライアン・キャッシュマン(GM)の最大の過ちの1つは、田中将大の契約を見送り、同じ1100万ドル(約12億5280万円)でコーリー・クルーバーを得たことだろう。確かに、田中は衰えがあったかもしれないが、彼は賢くてタフだった。ますます神経質になっていたコールは、(田中がいれば)そのプレッシャーからも解放されていただろう」。

 昨季までヤンキースで7年間プレーしていた田中は、コロナ禍で試合数が全60試合に短縮された昨季を除き、メジャーでは毎年2桁勝利という安定した成績を残していた。しかし、契約が満了した昨季のオフ、ヤンキースは田中に再契約のオファーをしなかった。

 メジャーの他球団に移籍するという選択肢もあったが、田中は、古巣の楽天と2年契約(推定年俸9億円+出来高)を結び、8年ぶりの日本球界復帰を選んだ。その理由としては、田中がコロナ禍のアメリカで経験した、アジア系住民に対するヘイトクライムから家族を守りたかったからだとも言われている。

 楽天への入団が決まった時、現地メディアは田中の退団を悲しみ、シーズン中もそれを惜しむ声をあげていた。

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