10月26日に会見した小室圭さんと眞子さん(C)朝日新聞社
10月26日に会見した小室圭さんと眞子さん(C)朝日新聞社

 昭和から平成に代わる時期に宮内庁を担当した縁で、職員だった方から毎年「皇室カレンダー」をいただき、我が家に飾っている。ことしは7・8月が秋篠宮ご一家の写真だった。昨年の夏に撮影された写真だろう。眞子さまは薄桃色のワンピース姿で穏やかな笑みを浮かべている。

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 しかし26日の会見に、この笑顔はなかった。婚姻届けを済ませて「小室眞子」として会見に臨み、結婚に際しての思いを硬い表情で述べた後、お相手の小室圭さんと一緒に退席した。結婚の会見なら、新しい生活を待ち望む喜びやうれしさが表情や仕草にあふれ出て当然なのに、まったく感じられなかった。

 その原因が、お相手の小室さんと眞子さまに対する執拗なバッシングにあることは間違いない。

 お二人の婚約が17年9月に内定してほどなく、小室圭さんの母親と元交際相手の金銭トラブルが報じられた。このトラブルをテレビのニュースショーや週刊誌が繰り返し取り上げ、ネットのSNSにもお二人を誹謗するメッセージがあふれるようになった。

 ツイッターには「#眞子いいかげんにしろ」「#秋篠宮家全員皇籍離脱せよ」など10近いハッシュタグができた。「疑惑のデパート小室母子」「ただのヒモ男と金づる皇族女」「税金泥棒」という激越な言葉もある。これらがリツイートされ、拡散した。ネットの動きをニュースショーや雑誌が増幅し、結婚反対の「空気」をつくり続けた。

 SNSの発言者はほとんど本名がわからない。どんなに人を傷つけても自分は安全だと思える。だから平気で人を傷つける。ネット上で誹謗されたプロレスラーの木村花さんは自殺に追い込まれた。「ネットのいじめ」を遺書やメモに書き残して自殺した子どもたちも相次いでいる。同じことが眞子さまと小室圭さんにも降りかかった。

◆「PTSDの惹起は刑法にいう傷害にあたる」

 宮内庁は眞子さまが「複雑性心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された」と明らかにした。誹謗中傷が長期的に反復され、逃れることができないという体験をしたこと、平穏で幸福な生活を送りたいという願いが不可能になってしまう恐怖を感じるようになったこと、それらの結果だという。

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「PTSDの惹起は刑法にいう傷害にあたる」