ヤクルト・内川聖一(左)と中日・福留孝介(右)(c)朝日新聞社
ヤクルト・内川聖一(左)と中日・福留孝介(右)(c)朝日新聞社

 今季から新天地となるヤクルトに加入した内川聖一と、古巣へ復帰した福留孝介のベテラン2人。リーグ優勝目前のヤクルトでプレーする内川は残留が微妙な立場の一方、Bクラスに沈んだ中日の福留孝介は早々と来季契約が内定したという。

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 球史に残る2人のバットマンに対する評価が好対照だが、この差はどこから生じたのだろうか。

「ヤクルトは僕のプロ野球人生にとって最後の道になると思う。もうひと花咲かせられるように頑張りたい」(内川/20年12月11日のヤクルト移籍会見)

 昨オフ、ソフトバンクを退団した内川に対してヤクルトの動きは早かった。12月7日の自由契約選手との交渉解禁後、即座にアプローチを開始し契約まで一気に進んだ。1年契約、年俸は2億円減の5000万円だったが背番号「7」を準備するなど、通算2171安打(当時)のヒットメーカーに対し球団として最大限の誠意を見せた。内川本人も全身全霊で結果を残す覚悟を前述の移籍会見以降は常に公言していた。

「マスコミによく話す選手。チームのためを公言するが、率先してチームプレーをするタイプではない。結果を残せばチームの勝利につながる、というイチロー(マリナーズ他)に近い考え方。チームリーダーではなく職人タイプだから調子が落ちてくると口数も少なくなり自分のことに集中する。移籍会見のコメントでも、自分のことを語っていたのは内川らしかった」(ソフトバンク担当記者)

 横浜時代からヒットメーカーとして知られ勝てないチームでヒットを打ちまくった。08年に首位打者、最多安打を獲得したことで次はチームの勝利を味わうため11年からソフトバンクに移籍。タレント揃いの常勝球団では自ら結果を出すことがチームの勝利に直結した。成績が下降線をたどり選手生活晩年に差し掛かった今、結果を残さないとユニフォームを着られなくなる。自らの打撃と向き合う日々だ。

「人間的には素晴らしいのでヤクルトはチームリーダーとしても期待した。しかし自分の打撃を考えたいタイプだけに調子が悪い時は周囲への影響もある。二軍暮らしが長くなるのも仕方ない。青木宣親も若い時は似たような部分もあったがメジャー経験などを重ねチームの重要性を認識した。個人成績は今ひとつでもラインアップから外せない選手で村上宗隆とともに(チーム内での)MVP候補です」(ヤクルト担当記者)

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福留の評価は内川とは好対照?