千葉ロッテマリーンズの井口資仁監督(C)朝日新聞社
千葉ロッテマリーンズの井口資仁監督(C)朝日新聞社

 1974年以来47年ぶり勝率1位でのリーグ優勝に向け、オリックスと熾烈な優勝争いを繰り広げているロッテ。長年レギュラーだった田村龍弘をおしのけ、中日からシーズン途中の加入で正捕手の座をつかんだのが加藤匠馬だ。今季は中日で開幕ファーム暮らしが続いていたが、6月15日に加藤翔平との交換トレードでロッテに移籍すると、後半戦からスタメンでの出場機会が急増。最速157キロ右腕・佐々木朗希、安定感抜群の左腕・小島和哉など投手の良さを引き出すリードで勝利に貢献している。

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「肩の強さはソフトバンクの甲斐拓也と双璧ですね。捕ってから速いし送球も正確なので、走者が出てもなかなか走れない。フレーミング技術とブロッキングにも優れ、守備力は球界屈指です。打撃が課題で中日ではレギュラーを獲得できませんでしたが、パリーグは指名打者制であるので、加藤には申し訳ないですが1つのアウトは仕方ないと割り切れる。その分守備でのプラスアルファが大きいですから。セリーグのように8番に打撃に難がある選手を置くと、9番・投手との並びで自動的に2アウトになるのは違う。『守備型捕手』はパリーグで評価が高い。同じく強肩とインサイドワークに定評がある巨人・小林誠司がパリーグの球団から評価が高いのも納得できます」(スポーツ紙記者)

 前述のコメントの通り、加藤の課題は打撃だ。今季53試合出場で99打数9安打、打率.091、2本塁打、4打点。出塁率.118と、その打力は正直1軍レベルに達していない。ただ、捕手というポジションは特殊だ。西武・森友哉、広島・坂倉将吾のような「打撃型捕手」はその活躍が数字に反映されるが、「守備型捕手」は盗塁阻止率など別として、配球術や投手の特徴を引き出すリードは目に見える正解がないため評価されにくい。

 加藤は青山学院大から2014年ドラフト5位で中日に入団。大学の1学年上に杉本裕太郎、1学年下に吉田正尚(ともにオリックス)が在籍していた。プロ入り当時から「鉄砲肩」は注目され、19年はチーム最多の92試合に出場。正捕手に近づいたように見えたが、翌20年は木下拓哉の台頭で29試合出場と激減。今季は中日で1軍出場機会がなかった。

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