た日本ハムの斎藤佑樹(c)朝日新聞
た日本ハムの斎藤佑樹(c)朝日新聞

 日本ハム・斎藤佑樹が17日のオリックス戦(札幌ドーム)に引退試合で登板。野球人生最後の打者となったのは、オリックスの福田周平だった。日本ハムが4-3と1点リードの7回に斎藤は登板。オリックスはロッテと熾烈な首位争いを繰り広げているため、負けるわけにはいかない。福田は7球粘った末に四球を選んで出塁。得点に結びつかず敗れたが、この「真剣勝負」がファンから大きな反響を呼んだ。

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「かつての引退試合は投手なら相手打者が空振り三振、打者の場合は相手投手が甘いコースに直球を投げて安打を打つのが『お約束』だった。最後だから花を持たせようという暗黙の了解があったが、時代が変わってきた。優勝争いやCS進出争いで昔に比べて消化試合が少なくなったのも影響し、チームを勝たせるために真剣勝負にならざるを得ない。でもファンはこの姿を求めているのではないでしょうか。『忖度』で花を持たせるより、真剣勝負の方が引退する選手も心に残ると思います」(テレビ関係者)

 報道によると、日本ハムはオリックス側に対して斎藤の登板時に通常通りの対戦を申し出ていたという。最後の結果が四球であれ、三振であれ、斎藤のプロ11年間は色褪せない。試合後のスピーチで、「斎藤は、持っていると言われたことがありました。でも本当に持っていたら、いい成績も残せたでしょうし、こんなにけがもしなかったはずです。ファンの皆さんも含めて、僕が持っているのは、最高の仲間です。皆さんと過ごした時間は僕の一生の宝物です。長い間、本当にありがとうございました。きっとまたお会いしましょう」と語った表情は晴れやかだった。751日ぶりに1軍の舞台で登板した福田との「ガチンコ勝負」も一生の宝物になるだろう。

 過去には引退勝負の真剣勝負が物議を醸したことがあった。07年10月6日の広島―横浜(現DeNA)戦。広島・佐々岡真司(現広島監督)の引退試合で、9回2死で登板した際に横浜の4番・村田修一(現巨人1軍野手総合コーチ)が36号ソロを左中間に放ち、広島市民球場に集まった満員の広島ファンから罵声が飛んだ。ただ、村田はこの時、タイロン・ウッズ(中日)、アーロン・ガイエル(ヤクルト)、高橋由伸(巨人)と熾烈な本塁打王争いを繰り広げていた。佐々岡との対戦はカウント3ボール1ストライクとなり、5球目は高めのボール球だったが、タイトル争いを考えると振らざるを得ない。村田はこの1発で初の本塁打王のタイトルを獲得した。佐々岡は村田が真剣勝負をしてくれたことに感謝する談話を残している。

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