イングランドのガスコイン(左)とフランスのカントナ(写真/gettyimages)
イングランドのガスコイン(左)とフランスのカントナ(写真/gettyimages)

 全世界でコロナ禍が続く中、サッカー界では2022年W杯カタール大会へ向けた予選が実施されている。アジア最終予選では日本が2勝2敗スタートとなり、本大会出場を危ぶむ声も挙がっているが、過去には「まさかの予選敗退」となった国が多くある。

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 1990年、1994年と2大会連続で欧州予選敗退の憂き目にあったのが、出場14回、優勝2回を誇るフランスだ。「シャンパン・フットボール」と賞賛された華麗なパスサッカーで1984年のEUROを制し、1986年のW杯メキシコ大会では3位に入ったタレント軍団が、“将軍”プラティニの引退とともに暗黒期に突入。1990年イタリア大会予選では、ストイコビッチ擁するユーゴスラビアだけでなく、伏兵スコットランドにも敗れ、グループ3位で予選敗退。

 そして続く1994年アメリカ大会予選では、カントナ、パパンという当時の世界トップクラスのFWを揃えながら、勝てば出場決定となるホーム・イスラエル戦で終了間際の2失点で逆転負けを喫すると、引き分け以上で出場確定となる最終戦のホーム・ブルガリア戦でも、再び終了間際に逆転ゴールを許して土壇場で出場権を逃す「パリの悲劇」を味わうことになった。

 同じ時期、欧州の実力国であるデンマークも、あと一歩でW杯本大会に辿り着けなかった。20世紀を代表するGKシュマイケル、そしてラウドルップ兄弟がいた時代だったが、1990年イタリア大会予選では最終節を前にグループ首位に立ちながら、最後にゲオルゲ・ハジを擁するルーマニアに1対3で逆転負けして予選敗退。そして1992年のEUROを制して欧州王者として臨んだ1994年アメリカ大会予選でも、最終節で敗れ、スペイン、アイルランドに続くグループ3位。アイルランドとは勝点、得失点差で並びながらも本大会出場は叶わなかった。

 その1994年は、サッカーの“母国”イングランドもアメリカの地を踏むことができなかった。1990年イタリア大会ではリネカー、ガスコインの活躍で4位となったが、さらなる復権が期待された1994年アメリカ大会の欧州予選でノルウェー、オランドと同組となると、直接対決でともに1分1敗と勝利を挙げることができずにグループ3位で敗退。不安定な戦いに終始したチームを指揮した当時のグレアム・テイラー監督は、「史上最悪のイングランド代表監督」の汚名を背負うことになった。

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1998年大会の“幻の優勝候補”とは?