中日の武田健吾(c)朝日新聞社
中日の武田健吾(c)朝日新聞社

 10月11日に行われたドラフト会議では支配下、育成合わせて128人の選手が指名を受けたが、プロ野球の世界に入ってくる選手がいるということは逆にユニフォームを脱ぐ選手もいるということである。既に各球団では俗に言う“戦力外通告”が行われており、ここ数日は引退試合のニュースも増えている。しかしその一方で他球団での現役続行を希望する選手も少なくない。今回は現時点で自由契約が発表された選手の中から、まだ戦力になる可能性を秘めた選手がいないか探ってみたいと思う。

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 まず投手で申し分ない実績を誇るのが吉田一将(オリックス)だ。2013年のドラフト1位で入団すると、1年目には先発として5勝をマーク。2年目のシーズン途中から中継ぎに転向すると、2016年には5勝21ホールド、2018年にも3勝21ホールドとブルペン陣を支える存在となった。2019年以降は年々成績を落とし、今年は二軍でも防御率7点台と結果を残すことができず、プロ入り後初となる一軍登板なしに終わったが、通算226試合に登板している実績は貴重である。何かきっかけをつかめばまだ復活する可能性も十分にありそうだ。

 投手では渡辺雄大(ソフトバンク)と三ツ間卓也(中日)の2人も面白い。渡辺は青山学院大では実績はなかったものの、BCリーグの新潟で力をつけて26歳となる2017年のドラフト育成6位でソフトバンクに入団。二軍、三軍で実績を残して昨年8月に支配下登録されている。その後は肘の故障もあって一軍登板は3試合にとどまったものの、今年も二軍では34試合に登板して防御率1.67と安定した成績を残している。左のサイドスローから投げ込むスライダーは打者の手元で鋭く変化し、左バッターにはかなり厄介なボールとなっている。戦力外が報じられたのは今朝で、今後についての意向は不明だが、貴重な左の中継ぎとして需要の高い選手であることは間違いない。青山学院大時代の同期である杉本裕太郎(オリックス)が今年大ブレイクを果たしただけに、渡辺もここからもう一花咲かせることを期待したいところだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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まだ戦力になりそうな野手は?