天羽健介さん
天羽健介さん

「NFT(Non- Fungible Token、非代替性トークン)は世界を変える可能性の塊です。たとえばこの先、暗号資産(仮想通貨)がなくなることはあっても、NFTは決してなくならないのです」

 こう話すのは、日本暗号資産ビジネス協会のNFT部会長で、『NFTの教科書 ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計までデジタルデータが資産になる未来』(朝日新聞出版)の共同代表編著者の天羽健介さん。

 何十億円というデジタルアートの取引ばかりが話題になりがちなNFTだが、じつはインターネット以来の「革命」をもたらすことが予想されるテクノロジーだと言う。NFTの真価とは何か、日本のNFTビジネスを牽引するキーマンに詳しく語ってもらった。

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■NFTが一過性のブームで終わらない理由

 ブロックチェーン技術を使ったNFTは、最も成長が期待されている「デジタルビジネス」のど真ん中にあると言っていいでしょう。いまこの瞬間も世界中のベンチャー、ユニコーン企業に巨額の投資が集まっていて、大企業も日本ではラインやメルカリ、ヤフー、海外ではGAFAなどが本格的な事業化に向けて活発に動き出しています。

 一方で、ビットコインなどの暗号資産(こちらは代替性トークン)の売買が当初そうであったように、NFTのアートやトレーディングカードなどを扱うマーケットプレイス(取引所)では、「よくわからないけれども値上がりしているから買っている」という、熱に浮かされたような状態が続いています。

 グローバルで見ると、100万ドルを超えるNFTの取引が1カ月で30件ほどあるとも言われています。たとえば2021年9月にも、サザビーズのオンラインオークションで「Bored Ape Yacht Club(BAYC、退屈した猿のヨットクラブ)」というNFTキャラクターの101点のコレクションが2440万ドル(約26億8000万円)で落札され、世界的なニュースになりました。

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わずか1年でデジタルビジネスのど真ん中に躍り出たNFT