大谷翔平の所有権は2023年までエンゼルスが保有(写真/gettyimages)
大谷翔平の所有権は2023年までエンゼルスが保有(写真/gettyimages)

 今季は投打の二刀流で文句なしの大活躍を見せた大谷翔平選手。ただし大谷個人の奮闘とは裏腹に、エンゼルスはプレーオフ争いに絡むこともなく6年連続の負け越しでア・リーグ西地区4位に終わった。

 その本拠地最終戦後、大谷は「ファンの人も好きですし、球団自体の雰囲気も好きではあるが、それ以上に勝ちたいっていう気持ちのほうが強いです。プレーヤーとしてはその方が正しいんじゃないかなと思ってます」と発言。これが一部メディアやファンから「移籍志願か?」ととらえられて大きな話題となった。

 エンゼルスは大谷の保有権を2023年まで所有しているが、大谷本人は「現時点で(契約延長の話は)ない」とも明言。もし大谷がフリーエージェント(FA)となる前にエンゼルスが契約延長しなければ、争奪戦となることは確実だ。

 果たして大谷はエンゼルスに残留するのか、それとも「勝てるチーム」への移籍を目指すのか。その答えは今オフに出るようなものではないが、残留した場合のメリットとデメリットを考察してみる。

【エンゼルス残留のメリット】

 大谷が二刀流での活躍を続けるためには、所属チームが二刀流での起用を許容できるかどうかが最重要。今季の活躍を見れば大谷の二刀流を否定するチームはまずないが、現在の戦力が大谷の二刀流にそぐわないということはあり得るからだ。

 大谷の二刀流実現にはいくつかの条件がある。まずは中4日での登板を避けるために先発投手6人でのローテーションを組むこと。そして指名打者(DH)の枠を大谷に割り当てることだ。

 先発ローテに関しては、質の高い先発投手を6人用意するのは(大谷を含めても)どのチームにも容易なことではない。さらに5人ローテに比べると必然的に1人あたりの登板数が減るため、最多勝やサイ・ヤング賞などが狙えるスーパーエース級の投手たちはタイトル獲得に支障が出る6人ローテにいい顔はしないだろう。スーパーエースだけ中4日で回すという手もないではないが、その場合は残る投手たちの先発間隔が変則的になる弊害が発生する。

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残留のデメリットは?