小久保裕紀ヘッドコーチ(C)朝日新聞社
小久保裕紀ヘッドコーチ(C)朝日新聞社

 工藤公康監督の今季限りでの辞任の意向が報道されて以降、王者ソフトバンクが次期監督の人事で揺れている。

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 小久保裕紀ヘッドコーチが“既定路線”通りに監督に昇格すると思いきや、ここに来て他の後任候補の名前も挙がっている。今季低迷の原因、そして小久保ヘッドに対する現時点での評価が見て取れる。

 今季は苦しんでいるものの、ソフトバンクはNPBで最も豊富な戦力を保有しているということは間違いない。昨シーズンには巨人のV9以来となる4年連続の日本一を果たし、今季も開幕前にはダントツの優勝候補と予想されていた。しかし蓋を開けてみると主力選手が相次いで故障離脱。投手陣ではエース千賀滉大、抑えの森唯斗、打線ではグラシアルなどチームの中核を欠き、本来の戦いが最後までできなかった。

「今季の低迷に関して責める声は聞こえてこない。投打の柱がいない状況では、百戦錬磨の工藤監督でも無理だったということ。オフの補強を含め、戦力を整えて(工藤監督の下で)再び来シーズンに勝負をかけると見られていたから驚きだった。正式発表はまだだが辞任の意向は固めている。一途で頑固な性格なので気持ちは変わらないはず。名将の後を継ぐ次期監督には、かなりの手腕が求められます」(ソフトバンク担当記者)

 工藤監督は15年シーズンから指揮を執り、3度のリーグ優勝と5度の日本一を達成。結果とともに野球理論、人間性などを球団側から高く評価されていた。今季の低迷は故障者が続出したことが原因だったことは明白で、球団側も慰留に努めたが、工藤監督は責任を取る形で辞任を決心したと見られる。

 今季から小久保ヘッドを招聘して次期監督へのレールを敷いたばかり。数年は工藤監督の下で帝王学を学び、指揮官の役割を継承させるはずだったのが、プランが狂い監督選びが難航している。監督としての経験値など、球団内部には小久保ヘッドの監督昇格は時期尚早という声があるのも事実だ。

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小久保ヘッドの“手腕”には疑問符も…