昔はよく見かけた駄菓子屋さん。最近は街角から消えつつある
昔はよく見かけた駄菓子屋さん。最近は街角から消えつつある

 うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。

 杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。

【写真】「得意な数学」を生かして難関大に合格した人気女性アナはこの人

*  *  *

「因数分解や微分積分なんて生きていくうえで必要ない」という言葉を聞くことがあります。

 これは、数学のおかげで科学技術が進歩していること、私たちがその恩恵を受けていることを意識しないからこそ、出てくる言葉でしょう。

 ただ、研究者や専門職でなければ、私たちが日常で使うとなると、足し算と引き算、掛け算と割り算あたりが主になるのも事実です。 

■算数の問題文にはリアリティーがない

 けれども、塾で小学生に算数を教えていると、足し算や引き算でさえ、どこかリアルに感じていない児童がいると感じることがあります。

 そもそもですが、学校の教科書や問題集でよく見る、「50円のりんごを3個と30円のみかんを5個買ったとき」「5メートルの間隔で木を植えたとき」というような問題は、いまいち現実的とはいえません。

 小学生が1人でりんごとみかんを買いに行く機会なんて少ないでしょう。みかんも現実のスーパーなどではバラ売りではなくセットの袋で売っていることが多いです。小学生が5メートル間隔で木を植えるなんて、言わずもがな。

 つまり、学校で教える問題自体も、ややリアリティーがないのです。

 さらに数学は、学年が上がるにつれ、ベクトルや複素数のように普段は使わない内容が多くなっていく学問です。

 ですから、小学生のときに身近に感じられないならば、中学生になればなおさら、ますます「日常とはかけはなれた存在」になる一方なのです。

 だからこそ、「小学生のときに算数を日常でリアルに感じること」が大切です。

■「駄菓子屋さん」で真剣に計算した経験

 そこで、「私が小学生のころは、どんなシーンで足し算や引き算をリアルに使っていたか?」と考えてみました。

 そこで真っ先に思い浮かんだのは、「駄菓子屋さん」です。

著者プロフィールを見る
杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

杉山奈津子の記事一覧はこちら
次のページ