4球団競合の末、西武が交渉権を獲得した西日本工大・隅田知一郎 (c)朝日新聞社
4球団競合の末、西武が交渉権を獲得した西日本工大・隅田知一郎 (c)朝日新聞社

 新型コロナウイルスの影響で、昨年に続いてリモートという形で行われた2021年のプロ野球ドラフト会議。支配下77人、育成で51人の合計128人が指名される結果となったが、チームの将来に適した指名ができた球団はどこだったのか、採点してみたいと思う。今回はパ・リーグ編だ。

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■西武:100点

 1位で4球団が競合した隅田知一郎(西日本工大)を引き当て、2位でも佐藤隼輔(筑波大)の指名に成功。左の先発投手がいないチーム事情を考えると、この2人を指名できただけでかなりの高得点をつけられる。また隅田、佐藤にとっても先発左腕が不足していることでチャンスが多くなるというのもプラスだろう。更に3位では大学ナンバーワン捕手の古賀悠斗(中央大)を指名できたことも大きい。そして完成度の高い3人を指名できたことに加えて評価できるのが下位でスケールの大きい選手を指名している点だ。羽田慎之介(八王子)、黒田将矢(八戸工大一)の2人は完成度こそ低いもののポテンシャルの高さは高校球界でも上位で、6位の中山誠吾(白鴎大)も粗削りだが西武が得意とする強打者タイプである。トータルで見て12球団最高評価とした。


■ソフトバンク:90点

 事前に公表していた風間球打(明桜)の単独指名に成功したことがまず大きい。ストレートの威力、角度は大学生、社会人を含めてもナンバーワンの迫力であり、メジャー移籍も噂される千賀滉大の後釜としてぴったりの人材である。また3位で指名した木村大成(北海)も高校生サウスポーではトップと言える存在で、この左右の両輪を指名できたことで投手陣の未来は一気に明るくなった。世代交代が急務の野手でも東京六大学を代表する大砲の正木智也(慶応大)を指名。最初はプロのボールに苦労しそうだが、飛ばす力は間違いないだけに将来の中軸候補として期待したい。4位の野村勇(NTT西日本)、5位の大竹風雅(東北福祉大)は少し意外な指名だったが、お家芸の育成でも好素材の高校生と実力派の大学生を上手く指名しており、またここから次代の育成の星が誕生することも期待できそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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