ヤクルト・田口麗斗 (c)朝日新聞社
ヤクルト・田口麗斗 (c)朝日新聞社

 思い描いた活躍はしていないかもしれない。だが、球界関係者が「トレード移籍して良かった」と口をそろえる投手がいる。ヤクルト田口麗斗だ。

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「ヤクルトはアットホームな球団なのですが、おとなしい選手が多い。田口みたいなタイプのムードメーカーがいなかったので、ロッカーの空気が明るくなかった感じがします。最初は巨人で実績のある選手だし、『どんな感じの人なんだろう』と他の選手も様子を見ていた感じでしたが、すぐに溶け込んでいた。性格なんでしょうね。先輩の懐に入るのがうまく、後輩からも話しかけられやすい。移籍1年目の今季は先発で結果がなかなか出ず、シーズン終盤に救援に回りましたが役割を全うしている。リーグ優勝に不可欠な存在です」(スポーツ紙記者)

 かつては、巨人の「左腕エース」と期待された男だった。プロ3年目の2016年に10勝10敗、防御率2.72と頭角を現すと、翌17年に13勝4敗、防御率3.01と大きく勝ち越し。18年は2勝に終わったが、19年に救援に配置転換さて55試合登板で14ホールドとリーグ優勝に貢献した。昨年は故障の影響もあり、5勝7敗1セーブ2ホールド、防御率4.63。廣岡大志との電撃トレードが両球団から発表されたのは2月の春季キャンプを終え、開幕を控えた3月1日だった。

「廣岡の潜在能力を高く評価していたのと同時に、田口はヤクルトに移籍した方が活躍の機会が増えるという巨人サイドの親心があった。左腕を見ると先発陣に高橋優貴、今村信貴がいて、救援陣は中川皓太、高梨雄平、大江竜聖がいる。かつて、エースとして期待された田口は1軍のポジションが確約されていないのが現実でした」

 両球団の交換トレードは、1976年12月のヤクルト・浅野啓司と巨人・倉田誠以来44年ぶり。ヤクルトにとって、田口は喉から手が出るほど欲しい存在だった。19、20年と2年連続最下位に沈み、昨季はリーグワーストのチーム防御率4.61。先発陣が深刻なこま不足で悩む中、田口はローテーションの中心として期待された。

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