地元の会合で目もあわせない河村建夫元官房長官(左)と林芳正元農相(C)朝日新聞社
地元の会合で目もあわせない河村建夫元官房長官(左)と林芳正元農相(C)朝日新聞社

 自民党は10月11日、第一次公認候補を発表した。だが、公認争いで保守分裂に発展している山口3区、長崎4区、徳島1区、福岡5区などの選挙区では結論が先送りとなった。西日本での「仁義なき」公認争いをルポする。

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 現在、参院山口県選挙区の補欠選挙の真っ只中の山口3区。自民党は参院比例区選出だった北村経夫氏を擁立している。だが、10月7日の選挙戦初日は不穏な空気に包まれたという。

 北村氏の出陣式に公認争いをしている二階派で現職の河村建夫元官房長官と参院から鞍替えの岸田派・林芳正元農相がともに挨拶に立ったのだ。

衆院選の日程も決まり、公認争いも佳境でどうなるかとハラハラでした。お互い目も合わせずそっぽ向いたままでしたよ」(自民党の県議)

 長崎4区では現職の北村誠吾前地方創生担当相(岸田派)ではなく、前県議会議長で県議の瀬川光之氏を地元県連が公認候補としての推薦を党本部に求めたことで、騒動となっている。

 地元県議によると、県連での投票で瀬川氏が北村氏より上回ったことと、「大臣時代のあまりに情け無い答弁は県民の不評を買っている」との理由だという。

 北村氏は「現職優先」だとして公認されるべきと主張したが、第一次公認では名前は発表されなかった。

 北村氏が岸田派に属しているので陣営は「岸田首相になったので、現職優先という原則から県連決定は覆るはず」と強気を崩さない。

 一方、高知2区は現職の山本有二元農相(石破派)の地盤だが、前高知県知事、尾崎正直氏(二階派推薦)が公認に決定した。

「山本氏が対応を県連に一任したことが大きい。二階氏が幹事長時代に尾崎氏の出馬を宣言していたので、あまり揉めなかった」(二階派の国会議員)

 10月19日スタートの衆院選まであとわずかだ。岸田文雄新首相のデビュー戦でもある。岸田派の国会議員がこう内情を語る。

「まだ就任したばかりで、国会もある中、正直、頭を悩ませています」

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徳島1区の後藤田VS県連の対立