今期限りで退任するソフトバンク・工藤公康監督(C)朝日新聞社
今期限りで退任するソフトバンク・工藤公康監督(C)朝日新聞社

 ソフトバンク・工藤公康監督が今季限りで退団することが、メディアで一斉に報じられた。

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 指揮官としての実績は際立っている。就任1年目の15年、17年、20年と3度のリーグ制覇。CSを勝ち抜いた18、19年と2度の「下克上」を合わせ、昨季までの7年間で5度の日本一に導いている。2年契約最終年の今季は5年連続日本一を目指したが、故障者が続出したことが大きな誤算だった。エース・千賀滉大、4番・グラシアル、守護神・森唯斗と主力が次々に離脱。黄金時代を支えてきた松田宣浩、今宮健太らレギュラーメンバーも打撃不振や故障で陰りが見られるようになり、若返りもなかなかうまくいかなかった。

 12球団トップの8度優勝と得意にしていた交流戦で5勝9敗4分、球団史上最低勝率,357と失速。9月30日の西武戦(ペイペイドーム)から引き分けを挟み8連敗と勝負所で王者らしい戦いを見せられず、優勝争いから脱落した。

 工藤監督は勉強熱心で知られていた。相手を綿密に分析し、コロナ禍の前は多忙な合間を縫ってオフに渡米。トレーニング施設を回るなど最先端の理論を勉強し、選手たちに飛躍するための助言を送り続けた。とりわけ、大きな功績はバッテリーを12球団屈指の陣容に育て上げたことだろう。

 育成枠で入団した千賀滉大、石川柊太をエースに育て上げ、救援陣も若手を積極的に登用。ピンチを抑えることで自信をつけ、パフォーマンスも上がる。チーム内のハイレベルな競争が強さの源だった。正捕手は育成枠出身の甲斐拓也を据え、日本を代表する捕手に成長を遂げた。

 後任は小久保裕紀ヘッドコーチが有力候補と見られる。

後任の有力候補に上がる小久保裕紀ヘッドコーチ(C)朝日新聞社
後任の有力候補に上がる小久保裕紀ヘッドコーチ(C)朝日新聞社

「侍ジャパンで監督を務めた小久保コーチは今季から入閣して野手陣の強化を期待されましたが、難しさを感じたでしょう。今季は貧打が深刻な時期が長く、上昇気流に乗れない一因になった。若手は三森大貴が台頭し、リチャードもシーズン終盤に出てきて自慢の長打力を発揮していますが潜在能力を発揮しきれていない若手が多いのが現状です」(福岡のテレビ局関係者)

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